No.4 狐な神（一応）は狩りに向かう【ワールドトリガー】

百五十五匹目 ページ9

「つーかまーえた」

「！？」



奈良坂の首に腕を回し、覆い被さる様に抱き着く。



「どわっとっと」



が、すぐさま振り落とされた。

……まぁ、振り落とされてやった、の方が正しいのだが。



「や〜だなぁ、そんなもの向けないでよ」

「なんだ、お前は」

「ん〜？

俺かい？

俺は一応Ａ級隊員だよ」



と言うかこの間 模擬戦したぞ〜

と、間延びした声で言う。

イーグレットの銃口は向けられたままだ。



「まぁそんな事より、あの子敵に回すと厄介だよ。

……俺の次に」



悪戯っぽくそれでいて妖艶に笑う。

奈良坂の指に、ほんの少し力が入った。

薄く眼を開ける。



「風花！」

「迅！ レプリカ！

……と誰だ？」



呼ばれた方を見ると片手にぼんち揚げを持っている迅とその隣に浮いているレプリカ。

それから迅の影になってよく見えない人物がもう一人。



「奈良坂と同じ隊の古寺だ」

「あぁ、古寺か。

俺は風花っつーんだ。

よろしくな」



そう言ってへら〜っと笑った。

此奴もこの間の模擬戦の時にいた筈だ。

……いたと思う。



「さて。

風花、俺達はあいつ等の所に行くが、お前はどうする？」

「行く」



迅の質問に即答し、スルスルと肩に登る。

そこからぼんち揚げの袋の中へ手を伸ばし取る。



「最初から思ってたが態度デカいなぁ、お前」

「……悪いか？」

「いいやー？」



迅は二度、俺の頭を優しく叩く様に撫でてから足を進めた。

奈良坂、古寺の二人も迅に続く。




道中も迅の肩でぼんち揚げを食べていたのだが、二度ほど遠ざけられた。

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