No.4 狐な神（一応）は狩りに向かう【ワールドトリガー】

百七十八匹目 ページ31

ドドドドドドドド



炸裂弾(メテオラ)の雨が嵐山へ降り注いだ。

嵐山はシールドを張ってそれに耐える。

――――もっとも、シールドの端の方は少々欠けているのだが。

その間に三輪が合流していた。



『ふむ……』



木の上でそれを眺めていた俺だが、気配を感じ、耳を動かした。

緑色の光が一つ、飛んで行く。

それと同時だった。



《ゲート発生 ゲート発生》

《警戒区域内にゲートが発生します》



警報が鳴り響く。

ゲートは開き、そこからモールモッドが現れる。



手負いの嵐山、出水、三輪。

現れた五体のモールモッド。

内一体は真っ黒い体の悪魔憑きだ。

憑いてるのは随分と弱い者だが、手負いの彼らには大分キツイだろう。

ガシャガシャと音を立てて降り立つモールモッド。



『やれやれ』



ストンッ



「漸く来なすったか、お客人」



変化し、フワリと着物の袖を揺らしながらニヤリと笑う。

黒い着物に、白い狐の面。



「下がってなよ、お前等。

俺の邪魔すんなら、容赦しねぇぞ？」



そう言って、クケケッと笑いを溢した。

大きな獣の様な殺気が空気を震わせ、モールモッドはそれに動きを止めた。

紛れている一匹の黒いモールモッドが恐怖からだろうか。

微かに震えているのが見て取れた。



「――雑魚を片付けろ、レオ」

「おや、気が付いていたんですか？」



どこからともなくひょっこり現れるレオ。

笑顔でそんな事を抜かして来る。



「気が付かれてたことに気付いてたくせに」

「主が俺の存在に気付かない、なんて事はないでしょう？」

「まぁな」



喋りながら俺はスコーピオンを装備し、レオは弧月を抜いた。

俺は視界の端で、獲物に狙いを定める獅子の目を見た。



「総じて五分で片付けるぞ」

「任務承諾。遂行しましょう、貴方が為に」



言葉と共にレオが飛び出す。

瞬間、次々とモールモッドを切り倒して行く。



「流石馬鹿力(レオ)。

何なら鞘で叩き斬ってんじゃねぇか」



呟きながら喉の奥でクツクツと笑いを溢した。



「どうする心算だい？

君には、俺は倒せないよ」



まぁ、君は言葉すら話せんか。

そう言ってスコーピオンを構えた。



「レオ！」

「グラスホッパー」

「サンキュー」




足元に出現した青く四角いソレを踏めば、瞬間に加速する。

弾き飛ばされた、の方が正しいのだろうか。



ザシュザシュザシュッ

百七十九匹目→←百七十七匹目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す