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百四十八匹目 ページ2

「……」



ボーダー本部 屋上。

縁に座り、風に吹かれる。


――――それに、結局俺はどちらへつく事も許されねぇんだよ



「……なぁにムキになってんだかなぁ」



深くため息を吐き出す。

うずくまる様に自分の膝を抱えた。



「まぁ、そこが貴方の悪い癖ですよね」

「……いたのか」



飲みますか?

といつの間にか後ろにいたレオに紙パックの珈琲を、ストローの刺された状態で渡された。

一瞬躊躇したが、足を離しありがたく受けとる。

そしてストローを加え一口飲む。



「ん、レオ」

「何です?」

「……これ、無糖」

「砂糖、いらないでしょう?」

「…………今は甘いのが良い。


んに」



なら今日は、これで我慢してください。


そう言ってレオは、自身の足に俺を座らせ、後ろから抱き着いてきた。

……暖かい。

元々レオは人より少し体温が高い。

だけど、この暖かさはそう言う暖かさじゃない。


レオのくれた珈琲を飲む。

矢張り、無糖は少し苦い。


けれど、その苦みがごちゃごちゃになっていた思考を、少し戻してくれたような気がした。



「……少し、落ち着きました?」

「……ん」



レオの体温が、俺を安心させる。



――――化け物!

――――何しに来た!

――――悪怪め!



風が吹き抜ける。

風の中、目を細めて町を見る。

遠いどこかを視る。



「俺だって、守って良いなら守るさ。

けど」

「主……」



昼間だと言うのに、辺りは薄暗くなった。

色濃く立ち上った黒い雲は厄災の前触れだろうか。



ピシャァアアンッ



冬だと言うのに大雨が降り、雷が鳴った。

それでも俺とレオはそこからしばらく動かなかった。



俺は町の至る所に白い色をした、一般的なラジコンカーより二回りほど大きな何かを見ていた。

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設定タグ:ワールドトリガー , オリキャラ複数   
作品ジャンル:アニメ
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アキ - 続きが気になって次々読んでしまいます!これからも頑張ってください! (2019年3月25日 8時) (レス) id: 524ee6d04b (このIDを非表示/違反報告)
野良(プロフ) - ミリアさん» お返事の方遅くなりすみません。時間と気力があり次第、リクエストの作品を作らせていただきます! もっとも、いつになるかはわかりませんが。コメント有難うございます! また気の向いたときにでも立ち寄ってください! (2017年9月15日 8時) (レス) id: 93a3181461 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で面白かったですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーの世界にトリップか転生したKかハイキューか黒バスか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体にきよつけて更新頑張って下さい (2017年9月7日 18時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
ちょっとね、隠れたいのよ(プロフ) - 波瑠音さん» コメントありがとうございます! 物凄くのんびり気の向いたときの更新なのでふと思い出したときにでもまた来てみて下さい! (2017年6月27日 17時) (レス) id: 6af8be8c4a (このIDを非表示/違反報告)
波瑠音(プロフ) - とても面白いです!これからも続きを読みたいと思ってます! (2017年6月27日 16時) (レス) id: 6a4ce7bd71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょっと隠れます | 作成日時:2017年5月23日 2時

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