占いツクールの闇

嘘 ページ5

「....へぇ。虐待とか...こういうの書けばいいんだ...たしかに...今の私の状況は軽いものかもね。」

人気の実話作品をひと通り見た乃香はもう一度、自分の実話作品に戻り、書き始めた。

内容は、親からひどい言葉を言われたり、殴られたりしたこと、
友達からは教科書を盗まれたり、仲間はずれにされたり、悪口を言われたりしたこと。

もちろん、親からは何もされていないし、友達からもそこまでひどいことはされていない。


つまり、嘘だ。


もしもバレたら、大変なことになる。
だが、元は由利が悪い、この状況から早く抜け出したい。

そんな考えばかりが出てきて、後のことなんて考えていなかった。


話を投稿した乃香は、罪悪感ではなく、満足感でいっぱいだった。

この話を信じてくれれば、人気になれる。
しかも友達が見れば、由利に復讐できるかもしれない。

そう思ったからだ。

サイトを閉じようとした乃香だったが、あのコメントが気になり、閉じるのをやめた。

「こんな話じゃ共感してくれない」

そう言われたから話を盛ったのでは？
と思われてしまうかもしれない。


乃香は少し考え、そのコメントを消すことにした。

まだ人気になっていなかったからこそできる方法。
乃香は初めて人気ではないことに感謝した。

唯一のコメントを消し、また何もなくなったコメント覧。
それを見ても、乃香に罪悪感などまったくなかった。





このの選択を変えていれば、あんなことにはならなかったのに。

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