10話 ページ10
駅構内
どこまでも親切な折原くんはわざわざ新幹線の乗り口付近まで来てくれるという。
さすがに申し訳ないから『わざわざそこまで来なくても大丈夫だよ?』と言うと「俺が行きたいだけなので行かせてください。」となかなかにイケメンな言葉で返されてしまった…
(これは折原くんがモテるのもわかるなぁ…)
なんて、思ったり。
元々何処かのモデルか、と思う程にルックスが整ってるうえ、性格もいい。
更には彼特有のはんなりとした方言が彼の良さを際立てている。
そんなことを思いながら前を見つめていると不思議に思ったのか折原くんが声をかけてきた。
「先輩?ぼーっとしてはるみたいですけど、どうかしたんです?」
『へ?あっううん。なんでもないよ』
『ちょっとぼーっとしてただけだから』
「そうですか?ならいいんですけど…」
ーーーーー
なんて、たわいもない話をしばらくしていた。
それからというもの、お互いが最後の方は無言でほんの少し白くなった息を吐き続けるだけだった。
お互いが何も発さないま少し時は経ち、遂に俺の乗る新幹線が来てしまった。
その新幹線を見ると寂しさは一気に倍増した。
たかが2週間、されど2週間。
折原くんには2週間なんて『長いようであっという間』だと言ってしまったが、何故か今はそう思えなかった。
名残惜しいのは折原くんも同じだったようで若干目が泳いでいたのが可愛かった()
「…先輩、俺やっぱり行って欲しくないです」
やっと口を開いたかと思ったらそんなことを言い始めた折原くん。
(俺もできれば行きたくないけど…)
『駄目だよ、ちゃんと行かなきゃ…』
『ふふ、大丈夫。もう戻って来ないって訳じゃないんだから、戻ってきたらまた会えるでしょ?』
『俺がこっちに戻ってきたら久しぶりに飲みに行こうよ。で、その時沢山話そう?』
「そう、ですね…先輩絶対に帰ってきますもんね…」
「先輩に最近誘ってもらえなかったから、嫌われてるんじゃないかと思っとったんですからね〜?」
なんて、何かを誤魔化すように笑いながらそう言う折原くん。
(そんな顔をさせたかった訳じゃないんだけど…)
そんなことを思いつつもこれ以上話していると乗り遅れてしまうのでこの辺で話を終え、新幹線に乗る。
『それじゃあ…またね、折原くん。』
『仕事頑張ってね』
「先輩こそ。本社の人にいじめられて泣いて帰って来ないでくださいね?」
『ふふ、大丈夫だよ。いじめられたりなんてしないから』
今度こそ会話を終え、2人でばいばい、と手を振って俺は新幹線に乗る。
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無伊(プロフ) - はじめまして、面白そうだと思い見てみたいのですが、ホスト?いいえ歌い手ですのパスワード教えて欲しいです。 (2021年12月5日 21時) (レス) id: ff08c42ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー(プロフ) - みきさん» あっごめんなさい。そのキャラは主人公ではないので名前固定です。この作品の主人公はお兄さんの方です (2019年4月22日 16時) (レス) id: c7691e5ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 真冬という名前から動かないです(泣) (2019年4月22日 15時) (レス) id: e0b4eaf84f (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー(プロフ) - みきさん» 変換できるようにしてるんですけど…できてませんか? (2019年4月22日 15時) (レス) id: c7691e5ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 名前変換って出来ないんですか?(泣) (2019年4月22日 14時) (レス) id: e0b4eaf84f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミルクティー x他1人 | 作成日時:2019年4月15日 1時