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21日目 ページ21

黙りこくってしまった悟を見て、きっと俺にも言えない話なんだろう、と察した。

『…無理に言おうとしなくてもいいよ?』
『言わなくても、俺は悟の傍にいるからね。』

落ち着かせるように、背中をぽん、ぽんと優しく叩く。

「ごめん、今はまだ、言えない…」

『うん、りょーかい。』

空気が重たくならないように、なるべく軽く答える。

しばらくの間、悟の背中を叩いてやっていたが、だいぶ落ち着いてきたのか、目元をゴシゴシと擦りだしてしまった。

そんな悟の手を掴み、言い聞かせる。

『こーら、悟』
『そんなに擦ったら目腫れちゃうからだーめ。』

少し赤くなってしまった目元を親指で優しく撫でる。

涙で少し濡れたアクアブルーの瞳と視線が交じり合う。

一瞬、驚いたような表情を浮かべるも、目元を撫でていた俺の手を掴み、嬉しそうに笑いながら擦り寄ってきた。

久しぶりに悟の嬉しそうな顔を見れて、少し安心した。


ーーーーー

悟が完全に落ち着いて、いつものように喋り出す頃には外が暗くなり、もう帰さなければならない時間だった。


『悟、そろそろ帰らなきゃじゃない?』

「あー…そう、だな…」

まだ帰りたくないと渋る悟をなんとか説得し、それでもまだ渋る悟に『また会えるから大丈夫だよ』と言い聞かせる。

ゴジョウ家へと向かう車に乗る悟の姿が見えなくなるまで見送り、手を振る。

その日以降、悟とこうして会えることは無かった。

互いに忙しくなったからなのか、それとも俺と悟が会わないよう、意図的に仕組まれたもののせいなのかは分からないが、どんな場面でも、会うことは絶対になかった。


悟と言葉を交わした最後の日が、土砂降りの雨だったのを嫌に覚えていた。

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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時

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