甲斐くんの彼女。2 (ページ40)

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諏訪「そういえば、涼音も水泳部だったよね?」

水越「..うん。2年の夏までね。
私は坪井のせいで辞めた。思い出すだけでも反吐が出る」

涼音から聞かされた状況を思いだして、私も唇を噛んだ。

泣きながら相談してくれたあの時の涼音は

中尾を失った涼音と同じだった。

小宮山「そこまで..?
理由は..」

水越「蓮と付き合ってることがバレたの。
部員の前で私たちの写真をバラ撒いて、“お前なんか要らない“って」

諏訪「それって好きだった教え子に男が出来たから手のひら返したってこと?
最低じゃん」

水越「きっと澪奈のこともそういう目で見てたんだよ。
でも..脈なしだからフェイク動画で排除しようと..」

真壁「証拠はないだろ」

熊沢「そうだよ。澪奈はちゃんと先生の期待に答えてた..」

水越「私は答えてなかったって言いたいの?」

熊沢「そういう訳じゃないからｰｰ水越「だいたい相手にすらされなかった奴が偉そうなこと言わないでよ!!」

水越「..私がどんな思いで辞めたかなんて知らないくせに。」

そういった涼音は教室を出ていった。

そんな涼音を追いかけようとする熊沢を真壁が止める。

「..ごめん、熊沢」

私が急に謝るからか、

私が素直に謝っているからか、

驚いたように熊沢が私を見つめる。

「涼音、ずっと抱えてきたの。
どうにもならない気持ちを」

私も持っていた向けどころのない悲しみ怒りを。

吐き出せなかった黒い感情を。

澪奈に負けたくない、期待に応えたい。

居残りまでして頑張ったのに..急にその努力が水の泡になった。

そんな涼音を見てきた中尾を見ると、今はそっとしておいてと言われた。

..吐き出せなかった感情が爆発すると、いつか酷いことになる。

..私が体験したことだ