59.儚い想い ページ16
うぅ…思わず出てきちゃった…
だって急展開なんだし仕方なく無い…?!
「あ、A!おはよ!」
名前を呼ばれ目を向けると、明るい顔の竜くんが手を振っていた。
A「え、竜くん?!」
竜「うん、そんな驚いてどうしたの?」
ケロッとした顔のまま竜くんは私を見つめた。
なんか勝手に学校辞めて獄卒の仕事に戻ると思ってたんだけど…
竜「……あ、もしかして学校来ないと思った?
確かに正体はバレたし振られたけど、僕はAの"親友"なんだから」
ふふん、と胸を張る竜くん。
以前の竜くんよりも顔が明るくなったのは気のせいなのか、気のせいじゃないのか。
どちらにせよ、私は今の竜くんの方が好きだな。
竜「ほら、早く行こ!」
A「うん、そうだね!」
私は竜くんの隣に並んで一緒に足を進めた。
そこから学校について、いつも通りの平穏な日常を過ごした。少し気になったことといえば、竜くんとの物理的な距離がある気がするってことかな。
でも普通に話してくれるし、竜くんなりに何かあるのかもしれないし。まぁ私の気の所為なんだろうけど。
それ以外は特に変わったことも無く、帰りのHRまで平和に過ごす事ができた。
A「竜くん帰ろー」
竜「…」
窓際にいる竜くんに声をかけるが、なぜか反応がない。
A「竜くん?」
名前を呼びながら私も窓際に近づくと、ふと門近くで人混みが出来ているのが見えた。
ぽつりと赤い何かも見える。それでなんとなーく察しがついた私は「あぁ…」と声を漏らし、竜くんの肩を軽く叩いた。
A「…会いたくない?」
竜「まさか。ただ、Aが居るのにあんなに女子を集めるなんてなーって」
A「いいよ、勝手に集まってるだけだろうし…
まあ、モテすぎても困るんだけどね」
竜「…もしあいつのせいで泣くことがあったらすぐに言ってね。僕が懲らしめてやる。
それで僕に目移りしたら好都合だけど…きっと君はそれだけじゃあいつを嫌いにならないから」
A「竜くん…?」
竜「……なんでもないよ。
さ、帰ろう。」
竜くんは笑顔を作って私に言った。
けど、ずっと一緒に居たんだから。それが作り笑いなことくらい、すぐわかるよ。
A「竜くんも辛いことがあったら言ってね」
竜「辛い。君が欲しい」
A「え」
竜「ふふ、冗談。君が欲しいけど、それは君の心が僕に向いてから
ほら、早くしないと置いてっちゃうよ?」
…竜くん、変わったね。
私は駆け足で廊下に出た。
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作者名:霊来 | 作成日時:2023年8月2日 13時