50.さようなら ページ2
A｢…全部、私が悪いから。ごめんね、迷惑かけて｣
ユイ｢そんなことない！Aちゃんは悪くない…悪いのは全部竜って人だよ！！｣
ロッティ｢ユイに同意だ。俺も、乃木もAが悪いなんて思ってない｣
そう言ってくれる2人に涙が出そうになる。
でも、ごめん。ごめんね。なんでだろう。
心が、救われない。
ユイ｢…Aちゃんは、もう僕たちと一緒に居たくないの…？｣
A｢そんな…！そんなわけ、ない…
みんなと一緒に…いたい…｣
ユイ｢じゃあ居ようよ…！僕たちが一緒にいる理由なんてそれでいいじゃないか！｣
脳裏にあの時の乃木がチラついた。
出会ってすぐの時、家を出ようとした私を乃木はそう言って止めてくれた。
でも、でも、もう甘えることは出来ないんだ…
A｢そういう訳にはいかないんだ…ごめんね、ユイちゃん｣
私は精一杯笑顔を作って言った。
ユイ｢……どうして…｣
ロッティ｢何かされたのか…？｣
A｢…毒されたのかもしれない。けど、迷惑をかけてるのは自分が1番分かってる。
最後に言わせて？｣
ユイ｢最後なんて言わないでよっ…！｣
A｢ユイちゃん、ロッティ
ありがとう、大好きだよ！｣
私は2人の目を見て伝えた。
頬に何かが伝っているのが分かる。私、泣いてるんだな。
ロッティ｢っ、なんだ、これ…？！｣
2人の体には黒い液体のようなものがまとわりついている。
A｢…大丈夫。門前に行くだけだから。
また……いや、違うね。"さようなら"｣
ユイ｢Aちゃんっ！！｣
廊下にユイちゃんの声が響く中、2人は闇夜に消えてしまった。
これで、良かったんだよね。
そうだよ…元々私は部外者なんだ。仲良しな3人の輪に入れて貰えて浮かれてしまっていた。
乃木に、沢山我慢させてたんだ。
A｢…怪我してないといいなぁ｣
私は涙を拭いながら独り言を呟いた。
きっと乃木を想うのも今日が最後。
最後にしなきゃいけない。
じゃないと、竜くんが許してくれないから。
3人を守るためには、竜くんを鎮めなきゃいけない。
竜くんを鎮めるためには……。
そういうことだよね。
A｢あーあ、最後まで気持ち…伝えれなかったな｣
でもそれで良かったのかもしれない。
きっと伝えていたらもっと困らせていた。
私は自分の意気地無しさに感謝しながら、重い足を上げて階段を上った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霊来 | 作成日時：2023年8月2日 13時
