【クラシカロイド】赤いはりねずみ。【男主】 (ページ6)

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「生きる理由ですって？」
「うん、ベトがずっとそれで……」
「だからあんなところで寝てるのね。全く……子猫ちゃんに迷惑かけてばっかりねえ」
「いやいいんです！しばらくは大人しくなるだろうし」

時は流れ、いつの間にかその日の正午を回った。
歌苗はいつものように昼ご飯を作ろうとしている所だった。
食材を冷蔵庫から取り出している最中、リスト……リッちゃんがキッチンに入ってきたのだ。

ついでに手伝ってくれる、というので二人はベトの話をしながらジャガイモの皮を剥いていた。

「でも意外だなあ……ベトがそんなので悩むなんて」
「ふふ、たまにはいいじゃない。運命だけで終わらせられない何かが頭の中にあるのよ。……あ、ちょうど終わったわ」

ピーラーを置き、リッちゃんは皮を剥いたジャガイモをザルに入れて洗い始める。
ちょうど歌苗もジャガイモを剥き終え、二人は次の作業に取りかかろうとした。

その時。

ピンポーン……。

「ん？」
「あらお客様？」
「いや……まさかまた借金の催促……？」

突然館内にインターホンの音が響いた。
来客に心当たりがないまま、歌苗は玄関へと急ぐ。
ついでにリッちゃんも後を追う。

「はーい」

ギィ、と古びた金具が軋む音を立て、扉を開ける。
……と、同時に、何かが歌苗の方に倒れ込んだ。

一瞬の沈黙。
歌苗に倒れ込んできた何かを、偶然顔を上げたベトと後ろにいたリッちゃんは目撃する。

ぴくりと、歌苗の眉が上がる。

……そして。

「きゃぁぁぁぁぁああああ！？」
「いやぁぁぁああああああ！？」
「な、なん……っ！？」

リッちゃんと歌苗は同時に叫び声を上げる。
ベトも立ち上がり、驚いた表情を見せた。

歌苗に倒れ込んできたそれは、まるでぼろ切れのようになった、人間の男だったのだ。