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奥からさっきまで休憩していたはずの若い男の声がした。
薄く目を開けると、あわててこちらの方へ走ってくる。
若い男がベトをなぎ倒し、私はどうにか解放された。
「ゲホッ……うぅ……か、は……」
「ブラームスさん!? 大丈夫か!?」
「貴様何故邪魔をする!」
「邪魔とかいう話じゃないでしょう! 人殺し!!」
「ま、待って、彼は……っく……」
大きく息を吸い、酸素を入れるとどうにか落ち着いた。
男がベトをバックヤードに押し込もうとする前に、どうにか止めることが出来た。
……が、当の本人は不満そうな顔をしている。
「……もう少しの苦しみで、答えが出るはずだったと言うのに」
「えっ……」
「私はこの一ヶ月、何故生きるかを考え続けた。しかし! いくら小娘の手伝いをしようと、いくら外の景色を見ようと、この答えを見つけることは出来なかった。……んぁあああ! 何故だ!! 何故私は生きている!!」
だからといって殺人未遂はいろいろ危ないでしょう、と突っ込む前に、ベトは壁に頭を打ち付けた。
あわてて止めると、また私の方をじっと見つめてくる。
「……ブラームス。貴様は何故生きる」
「……それは……」
答えに詰まった、その時。
「だーーから黙って金出せっつってんだよ!! さもなきゃぶっ殺すぞ!!」
……物騒な言葉が、店内に響いた。
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