【クラシカロイド】赤いはりねずみ。【男主】 (ページ32)

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深夜2時。

「へっくしゅん！」
「ブラームスさん風邪？大丈夫？」
「んんっ……いえ、ただちょっと鼻がむずむずして」

花粉の季節だから気をつけてね、と言い残し、先ほどまでレジを担当していた若い男は私と入れ替わりで休憩に入った。

この時間になると、もう夜遊びする不良達はコンビニから離れていく。
大勢の酔っぱらいがまた別のところで飲んでいるに違いない。
つまり、あまり忙しい時間帯ではなくなっていた。

せっかくだから商品棚の整理でもするか、とレジから出ようとしたとき、入店のチャイムが鳴った。

「いらっしゃいま……えっ」
「ん？」

……入ってきたのは、音羽館の住人の一人である、ベートーヴェンだった。

「なんだ。私の顔に何かついているか？」
「い、いえ……それよりどうして貴方がコンビニに？」
「理由は特にない。ただ町を歩いていただけだ」
「この時間に！？」

なんだ、文句でもあるのか、と言わんばかりに睨まれる。
いい加減この鋭い目つきにも慣れるべきだと分かってはいるが、入居して一ヶ月以上経つ今でもあまり顔を合わせたくなかった。

「この辺りは飲み屋さんとか多いですし、迷惑な酔っ払いに絡まれても知りませんよ……」
「今は客一人いないじゃないか」
「そりゃあ、この時間になれば……別のところで飲みでもするでしょう」

そう言いながらドリンクの棚にあるペットボトルを整理する。
背後からのベトの視線を感じながら綺麗に整えていると、突然服の襟元を掴まれた。