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時刻は午後8時を回った。
「……という、夢を……」
「へー。いいなあ、響くんに夢で会えるなんて」
「不思議なこともあるのねー……お父さんの夢を見るってことはやっぱりヨハネスさんもクラシカロイドってことで間違いはないのかな……はあ」
どうにかあの状況を収めたものの、ベートーヴェンの怒りは未だに収まっていないらしく、遅めの夕食とブレイクタイムを楽しんでいる中、彼だけは私を睨み付けていた。
正直、怖い。
ベトは私を一瞥すると、ふんと鼻を鳴らして腕を組んだ。
「……あの答えを導き出したとき、確実に私は何かを思い出すはずなのだ。それなのに……」
「ベトいい加減に諦めなよ」
「いいやまだだ!! 私はこの答えを導き出すまで、運命に抗い続けるのだああ!!」
グアア、と獣のようなうなり声を上げ、彼はまた何かを考え始める。
「ルーくんね、一つの事にはまっちゃうとずーーっとそればっかりになるの。今は「どうして自分が生きているのか」っていう質問の答えを探してるんだって」
「はあ……」
「その前はギョーザーの焼き方とか、コーヒーの入れ方とか、とにかくいろんなものにこだわってるんですよ」
まあ、本人が満足するまで放っておけば良いことですから。あんまり気にしないで下さいね。
歌苗がそう言うと、モツもうんうんと頷いた。
生きている理由。
その言葉を聞いたとき、なんだか胸騒ぎがし始める。
何か、嫌な予感が。
私は、何のために生まれてきた?
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