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「……」
扉を叩く音が数回聞こえる。
はっきりと「失礼するっす」という声がして、扉が開いた。
そちらの方を向くと、明らかに動揺した様子のバダとチャイコも、三弦の後ろについている。
手元の資料を机の上に置き、三人が来るまで待った。
「大バッハ様。報告書の内容は確認していただけたっすか?」
「……」
「……私も、信じられないんすよホント。でも、これが本当に……」
「……事情は分かった」
「っ! じゃあ……」
「チャイコちゃん……さっきからバッハ様が普通にお話ししてるけど……」
「……これは相当、やべえ事態なんだべ……」
「私の望んでいた八音は、あの時完成した。しかし、9人目のクラシカロイドが現れたとなれば、大きな矛盾が発生したことになる」
「ですから……」
「……」
三弦とバッハの視線が合う。
「真っ先に見つけ出して、存在を『消す』んっすね! バッハ様のお力で!」
やや興奮気味に三弦が口走った言葉が、室内に響いた。
……しばらくの沈黙。
「……えっ」
「……ん?」
沈黙を破ったのは、今三弦が言ったことを理解できないという顔をした、バッハの声だった。
頭の上にはてなを浮かべているのは案の定三弦だけだ。
後ろにいたチャイコとバダは、その様子を見た後、大きくため息をついた。
「オラ達のマネージャーがこんなんで、ほんどにだいじょぶだべか……」
「……さあ……」
なんとも言えない空気が漂う中、バッハはその日のうちに処遇を伝える事は無かった。
第二話 End
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