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「……あの……これは……」
「なんかすんげえ話してるな」
「いやー、実はさあ。みんなで自己紹介しあった後、彼がもしかしたらクラシカロイドかもしれない! って話にはなったんだけど……」
「けど?」
「よっちゃんが「まさかかの有名なモーツァルトとベートーヴェンがこの場にいらっしゃるとは!」とかなんとか言ったのが原因で、シューくんと喧嘩し始めたんだよねえー。なんでモーツァルトまで、とか言ってさあ。僕が悪いのかなあ?」
「……モツは多分、悪くないよ」
「そっかあー! ならほっとこ」
歌苗はもう一度シューベルトとヨハネスの方を見る。
昨日自分に向かって倒れ込んでくるくらいに弱っていたヨハネスがここまで元気になったのなら、それでいいだろう。
音羽館に一人、うるさいのが増えただけだ。
「あの、奏助」
「ん?」
パッド君から声がした。
奏助が持ち上げると、パッドくんがなにやら検索結果の画面を開き始める。
歌苗とモツもそれを覗き込んだ。
「ヨハネス・ブラームスでの検索結果ですが、確かに実在する人物であるようですねえ。
ロマン派の作曲家同様にベートーヴェンを崇拝する一方、古典派の作曲家であるモーツァルトとハイドンを敬愛していたそうです。ロマン派の中では最も古典派に近いお方で、『新古典派』とも呼ばれています」
「へーえ……」
「こういう人がマヨとケチャップ混ぜたオーロラソース作るんだろうなあ」
「えっ! なにそのソース美味しそう!」
「奏助の例えは的を得ているのかそうでないのか……」
もはやだれもシューベルトとヨハネスを止めようとはしない。
いつの間にかモツと奏助はパッド君でオーロラソースを検索し始めている。
ふと、歌苗が顔を上げた。
「あれ? でも……」
「歌苗どうしたの?」
「バッハさん、八音って言ってたから、もうクラシカロイドは全員揃ってたんじゃなかったの?」
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