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「……あの」
「なんだ。さっさと退け」
「あなたは誰ですか」
「そんなことはどうでもいいだろう」
「いえ、答えてください」
「いいから退け!!」
答えるよりも前に押しのけられ、怒りに任せて男は座った。
そのまま私を睨むと、男は考え事を始めてしまう。
はあ、とため息をつき、周りを見ると、全員ぽかんとしてこちらの方を向いていた。
「……そういえば、私はまだお話ししてなかったわね。ごめんなさいね。私はフランツ・リスト。リッちゃんって呼んで」
「えっ……あ、はい」
「で。こっちはチョッちゃんよ」
「……フレデリック・ショパン」
淡々と自己紹介をしていくリストの言葉をただ聞いていると、彼女はつかつかと歩き出した。
そして、ソファに座る白髪の男の背後に立ち、彼の肩を両手で押さえつける。
「で、この人が、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
「……なんだ」
「ただあなたのこと紹介してただけじゃない」
「用がないなら声を掛けるな」
「ひどいわねえ」
全員、音楽家の名前。
性別など所々違うが、確かにそうなのだと確信した。
「そういえばあなたのお名前、聞いて」
「ヨハネス・ブラームス!!」
ひい、とショパンの小さく怯える声が聞こえる。
突然の大声に、ただただ驚くしかなかったのだろう。
モーツァルトも、ベートーヴェンも、そしてリストも、その他の二人も、私を見て目を見開いた。
「この世に、二度目の生を受けた……あなた方と同じ、いやそこまでとは言わない、それでも……音楽を作っていた者です」
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