捌拾 ページ33
「ここの海久しぶり。もう一年くらい前……？」
食後は植物園に行って、ゆっくり散歩をした。
次に京治君に連れられてやって来たのは、とある砂浜。
初めてのデートと同じ。
「初っ端から初デートの話されて焦ったんだけど。」
「ごめんね。」
さっきの言葉はこういう意味だったのか。
二人で並んで浜辺に腰を下ろす。
京治君に告白されたのはこの場所で、夕日が沈みかけた時間だった。
「すっかり夏って色の海だ。」
「本当。透き通る色ってこういう事だね……。」
前に見た時は心が洗われるようで、とても清々しい気持ちになったのに、今は日輪刀の事が頭をよぎる。
「京治君はさ、私って何色だと思う？」
「色？そうだな……。」
唐突な質問に一瞬きょとんとした後、少し考えて答えた。
「やっぱり青とか水色かな。透き通った色。」
「そうだよね……。」
京治君が言うのだから、誰から見てもそうなのだと思う。
赤は私には似合わない。
「やっぱり青のイメージが強いのかな、私。」
「確かに穏やかだし、冷静な印象が強いしね。でも、意外と芯があって、熱くて、火って感じだなとも思うよ。」
「……本当？」
事情を知らない京治君にそう言ってもらえた事が、慰めでは無いと分かって、すごく嬉しかった。
「本当。」
「ありがとう。」
「俺は笑ってるAの方が好きだよ。」
「私、笑ってなかった？」
「ううん。でも最近、少し悩んでるように見えたから。」
確かに、いつもよりも私の様子を気にかけてくれていた。
やっぱり、京治君は私の事をよく見ていてくれる。
悩んでいたといっても、キメツ学園へ行く事も、義勇様の稽古に変わる事も決まっていたのだから、未練のような物だった。
私だって今のままで居たかったけれど、その甘えが致命傷になるかもしれない。
杏寿郎様が目の前で殺された時、私がもっと強かったら、自分に合った呼吸を使えたら、と後悔したのだ。
「もう大丈夫だよ。今は全部に納得してる。」
こんな事言われても、京治君にはさっぱりか、と思って横を見ると、真剣な顔で見つめられる。
「俺はまだ納得してない。」
「え？」
「まだAが好き。ずっと、好きだよ。」
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noel(プロフ) - みおさん» ありがとうございます！ゆっくりのペースですが完結まで頑張ります！ (2022年3月21日 19時) (
レス) id: 546d15b4fb (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - ずっと更新待ってます！！！！！！ (2022年2月28日 23時) (レス) @page22 id: 861da81337 (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - ゆきなさん» 不定期作品に付き合っていただいてありがとうございます！これからもよろしくお願いします^_^ (2020年7月19日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年7月19日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 苑歌さん» ありがとうございます^_^ 今後も頑張ります！！ (2020年7月19日 15時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：noel | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/noel_2/
作成日時：2020年7月19日 12時
