E.D. 【Nightmare】 ページ5
通電まではいった。
そこまでは良かった。
自分の体から溢れ出た血で真っ赤に染まる地面に伏し、段々と虚無が支配していく意識の中、視線の先にある光は希望の灯などではなく。
幾つかの小さな頭蓋骨と数本の橈骨で組み上げられた死の呪いは、ぼんやりとした月明かりよりも鋭く、鮮烈に、その下で滾る炎の光を私の網膜に焼き付けた。
ああ、暗い夜空に暗雲が浮かび、失血で朦朧とした思考さえも恐怖で満たす。
召し上げられた贄は紛れもなく、つい先程言葉を交わしたばかりの友人だ。
随分遠い所から、最後の一人の絶叫が響き渡った。きっと、安息の地へ通じる筈の脱出口が、無慈悲にしなる黒い棘の壁で塞がれている事に絶望しただろう。
...もう何を考えても無駄だ。最後の力を振り絞って這いずっても、あの悪魔は何処にいようが見つけ出す。
ここは彼の世界だ。
程なくして、再び深い夜空の闇の中に現れた暗雲を背に、こちらへ悠々と歩を進める男の姿が見えた。
ジャキジャキと耳障りな金属音を引っ提げて、新鮮な血に濡れた凶器の爪を躍らせている。
ようやく終わりだ。あともう一度、巨大なフックに肩を貫かれる痛みに耐えればいい。この苦しみが何事もなかったように消え去るんだ。
もはや身じろぎ一つ出来ずにいる私の目の前に立った男が、私の顔を覗き込むようにしゃがみ、さも愉快そうにニヤリと笑った。
「顔色が悪いじゃねえか、A。よしよし、待たせて悪かったな」
鋭く長い爪が一本、喉に宛がわれ、つうっと胸元へ引かれていく。血が出ているのかは分からない。何せ元々血塗れなのだ。
「ああ、今すぐにでも殺してほしいって顔だな。そうだ、その顔もいい。ゾクゾクするぜ。お前は特に綺麗だ」
力の入らない体が、男の腕に軽々と持ち上げられる。当然足掻く気力なんて無い。
酷いケロイド状の火傷痕を持つこの夢魔はいつにも増して饒舌に捲し立てる。「お前は美しい」「お前は特別だ」
戯言だ。死にかけて、起きているのか、眠っているのかも分からないこの有様を嘲笑っているだけなんだ。
しかし、何故だろう。彼は3本目のフックを通り過ぎた。
「だが、お前みたいな良い女を、ろくに楽しまずに殺すなんて御免だね」
どさりと地面へ落とされる。
「お前はもっと良い表情ができるはずだ」
「喜べ、今回も「お前以外が全員死んだ」んだよ」
もう何も分からない。
意識を失いかけた背中を乱暴に蹴り飛ばされ、全てが闇に消えた。
ちょっと補足（読まなくても〇)→←Salted 【Wraith】
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Noel(プロフ) - レイ(元Night)さん» レイさんありがとうございます！！デススリ、大好きです……夢本当に少ないですよね…増やして…いきたい…！ (8月31日 1時) (
レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(元Night)(プロフ) - めっちゃ好きです、デススリなかなかないのでありがとうございます、最高です。。 (8月30日 23時) (レス) id: 2a5a7e1b4d (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» コメント欄ではご遠慮お願いします〜 Twitterなどその他SNSやボードへの書き込みでしたら全然お聞きしますよ！ (8月10日 7時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
月神 - うちのdbdのオリ（プレイヤー？）について聞いてもらえませんか？ (8月10日 1時) (レス) id: d36a24f29e (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» 素敵ですね！悪辣セーターおじさん私も一時期ハマってました！遭遇率が低いのだけ寂しいですが… (7月24日 20時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Noel | 作成日時：2018年12月16日 17時
