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イース・リヴェルタが目覚めると、真っ白なベッドの上だった。
隣には、コウ・クルススが、コーヒーを静かに飲んでいる。
起き上がろうとするが、体が重い。
そういえば、少し熱っぽかった。
「クルスス…。」
呼びかけるが、どうしてもかすれた声になってしまう。
それでも、彼は気づいてくれたように、こちらに顔を向ける。
イース・リヴェルタは、不思議になったことを、今尋ねる。
「なんで、あなたがここにいるのですか。」
彼は、フードをかぶったまま、こちらに近づいてきた。
「お前の姿が消えた後、俺もお前と同様なことになった。ただ、それだけだ。」
イース・リヴェルタは、納得したように目をつむる。
だが、またゆっくり開くと、別の質問をする。
「ディベルティー・ローズは…?」
「彼女は、死んだ。」
悲しそうに下を向く。
そこでやっと、自分の服が違うことに気づいたらしい。
「まさか、あなたがやったんじゃ…。」
そんなことで、顔色を変えないのは鈍いのか、表情の変化が乏しいのか…。
コウ・クルススは、赤面すらせずに、答える。
「俺ではなく、ほかの女がやってくれた。」
ほっとしている、イース・リヴェルタをみると、なんだかおかしい。
「その方は…?」
一瞬、コウ・クルススは、考え込む。
「確か…、零、といったか。」
その名前を聞いた瞬間、イース・リヴェルタの胸は躍った。
謎の機械で、何が起こったのかわからずに、困惑して魔法使いみんなに情報を求め発言していたあの女神姿の女性…。
「こんど、あってみたいです。」
コウ・クルススは、一瞬迷った。
零はともかく、ウィステリア・レインは、なにか危険なにおいがする。
零を読んだら、必ず彼も来るだろう。
だが、今の彼女にとっては、零に会うことは、精神的な意味で病気にいいのではないか…。
「…わかった。ただ…」
言葉を切ったコウ・クルススに、イース・リヴェルタは、先を促す。
「なんでしょう?」
「あまり、暴れるな。お前の体がもたない。」
イース・リヴェルタは、キョトンとしたが、すぐに笑顔を取り戻す。
「はい。」
そんな笑顔を見れるのは、あと何回だろうか…。
コウ・クルススは、わかっていた。
彼女は、不治の病、肺結核に症状が似ていることを。
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作者名:N | 作成日時:2017年3月19日 23時