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朝、目覚めると、ベッドの上にいた。
あれから、遺体を埋めたり、血の海だった部屋を掃除したりと大変で、気がつくと疲れ果てて寝ていたらしい。
やはり、あの高熱の中無理してそんなことをやっていたおかげで熱がさらに上がった気がする。
起き上がるのも億劫でしばらく寝ていると、隣室から突然、悲鳴が聞こえた。
この体ではもうまともに動くことさえ難しいので、魔力を少し出す。
魔力を放出すれば、その期間だけ症状が和らぐからだ。
しかし、後になって酷くなる可能性は否めない。
幾分か軽くなった体を起こして、隣室に入る。
聞くまでもなくわかった。
零が、天井に吊るされた輪で自ら命を絶っている。
イース・リヴェルタはその大きな瞳を揺らしていた。
動揺するのは、彼女らしくない。
「守ると、約束したのにな。」
切なく微笑んで、彼女の体を静かに下ろす。
「…辛かったでしょうね…。」
イース・リヴェルタが同情の意を示す。
コウ・クルススでさえ辛かったのだから、きっと零の辛さはコウ・クルススの何倍もあったのだろう。
「残りは、四人か。」
コウ・クルススは、彼女を土に埋めると出かける支度をする。
「どこへ?」
「ミス・マナンティアレを倒す。彼女が、他のもう一人に手を出す前に。」
イース・リヴェルタも頷いた。
もう、殺したくないとか、そういう問題ではなかった。
「私も、お供させてください。」
「…わかった。」
今更、反論の余地もない。
ただでさえ自分もこんな体なのだから。
黒いコートを羽織り、矛を手に持つ。
イース・リヴェルタは、全身ほとんど白い衣装に身を包んでいる。
「思えば、モノトーンのチームですね。」
イース・リヴェルタが笑う。
コウ・クルススも笑った。
「お似合いの、パートナーだ。」
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作者名:N | 作成日時:2017年3月19日 23時