深紅の物語 (ページ18)

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「…すまない。いつも彼女と一緒に君がいるものだから、てっきり…。」

コウ・クルススは、ため息をつかなければやっていられなかった。

「…そう言う誤解をされているのも仕方ない。」

「でも、ずっと一緒にいるもんだからてっきり…、その…。」

そこまで言うと、ウィステリア・レインではなく、零が、ほおを赤く染めた。

「ウィスト…。そこまで言わなくても…。」

「ごめん。」

その時、背中にいるイース・リヴェルタが軽く咳き込んだ。

「大丈夫で…はないですね。」

零はそう言うと静かに彼女の背中をさする。

しかし、発作なのかなかなか治らない。

やがて、彼女の手から、血が一滴、二滴…、と垂れていく。

「すみませ…。」

イース・リヴェルタは、何か言おうとしてまた咳き込む。

赤い血が、ウィステリア・レインの服を染めていく。

「服を汚してしまって…。」

どうやら、服が汚れたことを懸念しているらしい。

「大丈夫だよ。」

ウィステリア・レインが優しく声をかけると、イース・リヴェルタは微笑み、口の血を拭った。

「…体、熱くないか？」

ウィステリア・レインは、イース・リヴェルタを見ながら、コウ・クルススに尋ねる。

「…とりあえず、家に運んでくれるか。」

コウ・クルススは、質問に答えず、いう。

ウィステリア・レインは頷くと、月光の下を歩く。

点々と続く血の跡が、まるでだれかをみちびくように描かれて行った。