鵺の里編1 ページ49
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朝の光が高専の廊下を、淡い色に染めている。
高校の敷地の裏手には、東京には珍しい山がそびえていて、今はその肌を赤く濡らしていた。
「もう秋かあ。一年早すぎ……」
歳をとると、一年一年がすさまじいスピードで過ぎ去っていく。
五条さんの補助監督になって、もう一年がたとうとしていた。
まあその上司である五条さんとは、一週間前に一線を超えてしまった仲ではあるのだけれど。
まあ起こってしまったことを、色々後悔しても仕方ない。
…と、私は必死で言い聞かせている。
まあ私だって、もう26歳のいい歳だ。
恋とか愛とかそういう物なしに、男に抱かれることに、いちいち嫌悪感を覚えていられるほどピュアでもない。
私は澄んだ空気の中で、ゆっくりと伸びをした。
「Aさん」
背後から声をかけられて、私は伸びをしたまま振り返った。
シワのない制服をきちんと着た恵くんが、ぺこりとこちらに向かってお辞儀した。
「恵くん、おはよう」
「おはようございます」
朝一番に、恵くんが私に何の用だろう。明らかに何か用事があって私に話しかけた雰囲気だ。
思い当たる節がないか考えて、私は先日聞いた任務のことを思い出した。
「あ、今度の任務のことかな？ 私、恵くんの補助監督として同行することになったから、よろしくね」
「…いや、そのことじゃないです」
恵くんは首を振って、かすかに咳払いした。
そして私に黄色の可愛らしい紙袋を差し出した。
「あのこれ…誕生日プレゼントです」
「……え！？」
一瞬息をのんで、恵くんを見つめる。
恵くんは私の目を数秒見つめた後、少しだけ視線を横にそらした。
「え、えっと…」
ラッピングされた紙袋は、ロクシタンのものだった。
私は何が何だか分からないまま、それをとりあえず受け取る。隙間から中をのぞくと、ガラスのボトルがちらりと見えた。
「なんで恵くん、私の誕生日のこと知ってるの？」
「釘崎から聞きました。本当は虎杖と釘崎と三人で、誕生日プレゼント渡すってことになってるんですけど。これは、俺からです。二人には、内緒にしてもらえますか？」
「えー、あ、そ、そうなんだ！ そ、そっか！」
な、なんで？
何度かうなずきつつ、内心で首を傾げる。
恵くんに、個別に誕生日プレゼントをもらえるようなこと、何かしたっけ…？
思い当たる節はあれしかない。
この前の、ジュジュランドでの一件だ。
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海星(プロフ) - 呪われし君に捧ぐ3を改めて作り直しました。よろしくお願いします。 (2022年7月1日 22時) (
レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
緋雪(プロフ) - 10点評価連打したい作品…ありがとうございます(；；) (2022年6月26日 19時) (レス) @page49 id: 3c54e1abfa (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 海星さん» 流石先生やることが違います (2022年6月21日 21時) (レス) @page44 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - あるふぁさん» ありがとうございます！！ すごく嬉しいです！ 頑張ります！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - Mamiさん» かっこいい恵書けてよかったです！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2022年6月4日 16時
