45 ページ46
ポカンとした萩原くんと伊達くんの顔が視界の隅にうつっていたが、怒りが沸騰したわたしは、もはや周囲に構っている余裕などなかった。どしどしと松田くんに近づいていって、ぐいっと胸ぐらを掴む。
「……てめえ、今何つった」
「心配しなくても、松田くんに遠慮なんかしないわよ! だいたいわたしに言ったか言ってないか確認しといて、言ってないって言ってるのに信じないってなんなの!? 馬鹿なの!? 何がしたいわけ!?」
「…………」
「あー、むかつく。松田くんのバカ。もうしらない。こっちこそ松田くんみたいな分からずやな人とは金輪際、喋りたくないです!」
きっと松田くんを睨みつける。
このさい殴られても、倍返ししてやる。
そう覚悟を決めていたが、松田くんはわたしを睨み返すだけで、なにも言わなかった。
なぜかさっきまで無表情だった萩原くんが、笑っているのが気にかかる。
なんなんだ、こいつらは。
「えー……つまり、仲直りってことでいいのか?」
伊達くんが首を傾げ、「ひひひひひ」と萩原くんがとまらない笑いに涙を流し、諸伏くんが「いいんじゃね?」と呟き、降谷くんが「どうでもいいことで喧嘩するなよな」と冷めた声で言った。降谷くんだけには、そんなこと言われたくない。
そのとき、松田くんがいきなり、わたしの頭を引き寄せて、乱暴にくしゃくしゃと髪の毛を撫で回した。
突然のことで、わたしはワンテンポ遅れて悲鳴をあげる。
「な、な、何するのよ!!!」
松田くんはそれには答えずに、無言のままわたしをもう一度ひと睨みした。そしてくるりと背を向けるとさっさと体育館を出て行った。
後に残されたのは、髪の毛をボサボサにされて呆然としたわたしと、他の面々。
「あー、なんか妬けるなあ」
馬鹿笑いをやめた萩原くんが、わたしの顔を覗き込んだ。
相変わらず垂れただらしない瞳を、ぎりっと睨みつける。
「妬ける? なにが?」
.
931人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
桜 - そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時