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 最悪……。もし周りが女子ばっかりだったら、それほど目立たなかっただろうに。
 特別早いわけでもない足だが、遅すぎるというわけでもないのである。

 しかしその足が痺れてきた。
 息を吸い込みすぎて、喉がカラカラに乾き、ひどく痛む。
 ざくざく、と校庭の砂を踏みしめる自分の足音が、スローモーションの動画を見ているように感じた。

「おーい、遅えぞ、イリゴマ!」

 松田くんが野次を飛ばしてくる。
 やっと四周目に入ったところで、よろよろと前方を見ると、スタートラインのわきで休憩しているみんなが目に入った。

「がんばれ、Aちゃん」と萩原くんが手を振ってくる。
「あとちょっとだよ」と相変わらず心配そうな顔をしているのは諸伏くん。
「無理せず走るんだぞー」とにこにこ笑っているのは伊達くん。

 口々に優しい言葉をかけてくれる三人に、

「あ、ありがと……」

 と息も絶え絶えにお礼を呟いたが、

「お礼言っている暇があるなら、さっさと走れよな」

「おいゴマ、お前のせいで次に進めないだろうが」

 無神経な松田くんと零くんの言葉が、疲れ切って泣きそうな心にグサグサと容赦なくナイフのように刺さる。

「……っ」

 唇を噛みしめる。羞恥で赤くなった頬がこわばるのが感じた。

「おいお前ら、いい加減にしろ」

「無神経にもほどがあるだろ」

「なんでいちいち喧嘩になるようなこと言うんだ」

 萩庭くんと諸伏くんと伊達くんが、それぞれ尖った声で注意するのが聞こえたが、余計に足が重くなった。

 もはや呼吸できないほど、息が上がっていた。
 ぐらぐらと地面が揺れている気がする。
 歯を食いしばって、最後の一周を走りきる。ほとんど歩いているといってもいいような速度だったが、わたしはなんとか走り切った。

「はい、駒沢おつかれー」

 教官がパチパチと適当な拍手をし、やっとスタートラインのまぶしい白線に戻って来たわたしは、その瞬間めまいでよろっと前方に倒れかけた。

「わっ……」

 ぐいっと誰かジャージの後ろをつかまれる。そのまま後ろに態勢を戻されて、それでもよろよろとしているわたしを強い力が支えてくれる。
 男の人特有の熱い体温と汗のにおいが、ひしひしと背後から伝わってきた。

「おい、何やってんだおまえ」

 見上げると、案の定、松田くんが困惑したような顔でわたしを見つめていた。

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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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