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 無事女子寮の受け付けをすませたわたしだったが、順風満帆な新学期が始まったとは到底言えなかった。
 
 わたしは直ちに理事室に呼び出され、顔が腫れている原因について根掘り葉掘り聞かれた挙句、入学早々怪我をしている同級生になんて誰も話しかけてくれないことなども相まって、完全に孤独だった。

 女子の世界は意外とドライだ。
 一度グループとしてまとまってしまえば、なかなか新参者を迎え入れてはくれない。
 わたしは一人部屋だったので、ルームメイトと友達になることもできない。こんな時に実家の気遣いが裏目にでた。

「……やっぱここでも一人か」

 こじんまりとした寮の一室で、ベッドに大の字に寝転がって、むなしく呟いた。まあ慣れている。こういうことは。
 なにせ、わたしには友達というものがいたことがない。
 生まれてから、今日にいたるまで、一人も、いない。

 可哀そうだと思うだろうか。うん、わたしもそう思う。でもできないものは仕方ないのだ。
 多分、要領が悪いのだろう。女子特有の駆け引きにうまくのることができず、グループからいつもはみ出てしまうわたしは、どこにいっても「お一人様」。

 はあ、とため息をつく。

 なんでわたしって四月なのに、こんなについてないのかな。
 まあ仕方ないのかもしれない。望んでこの道に入ったわけではなかった。両親の強い要望で、わたしはこの世界に飛び込んだのだ。

「なれんのかな、警察官、なんて……」

 ぽつりと吐き出されたわたしの声は、わたしの行き先のようにぐらぐらと揺れて不安定だった。


 ●


「あれ、ゾンビ女じゃねえか」

 聞き覚えのある声に、びくっと肩がはねる。
 入学式の待ち時間。体育館に差し込むうららかな春の光に、早くもうたた寝をしかけていたわたしは、慌てて顔をしかめて、そろそろと上を見上げる。そして、あ、と情けない声をもらした。

 わたしの座っている長椅子の隣に、ちょうど腰かけようとしていたのは、凛々しい警官の制服に身を包んだ、昨日の青年。確か、名前は松田といったか。

 くるくるはねた髪の毛は天然パーマだったのか、今日も軽々しくてまとまりがない。サングラスはさすがにかけていなかったが、制服を着ていてもどこかアウトローな感じがぬぐえない。

「……な、なんでいるの」

 思わず体を引いて距離をとると、露骨に眉をしかめて威嚇するようにこちらを睨みつけてきた。




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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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