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プルルルルrrrrrrrr________________
机に置かれたままになっていた、俺のスマホが軽やかな音色に着信を告げている。
降谷さんが俺を抱きしめる腕を強くしたが、俺は「離してください」と硬い声で言った。
降谷さんは一瞬、迷うような素振りを見せたが、深いため息をついて俺を解放した。
スマホを手に取る。
あ………画面にうつった文字を見て、思わず息を呑んだ。
赤井、さん………。
素早く通話ボタンを押して、「もしもし」と声を出した。
「A！？」
「ど、どうしたんすか……」
珍しく焦ったような赤井さんの声に、思わず驚いて問い返す。
赤井さんの戸惑ったような声が、電話口から聞こえてきた。
「さっきは電話に出られなくて、すまない…」
「それは…別にいいですけど。そ、それより俺の方こそ帰りが遅くなって…」
そう言いかけたら、赤井さんが「いいんだ」と依然焦ったような声で遮った。
「それよりお前と話したいことがある。どうか帰ってきてくれないか」
お前が今、どこにいるのかは分からんが。
だが、どうか帰ってきてほしい。
頼む、A。
そう付け足す赤井さんの声が、今まで聞いたことのないほど小さく震えている気がして、俺は心臓をぎゅっと掴まれたような気がした。
心配させている。
俺は、この人を心配させているのだ。
「………すみません。俺は大丈夫です。帰りますから」
「A……」
「待っててくれますか、赤井さん」
俺の声も自然と震えた。
赤井さんが電話口で、かすかに微笑むのが分かった気がした。
「もちろんだ。俺はいつでも待っているよ」
電話を切って、くるりと後ろを振り向くと、降谷さんが腕組みしてじっとこちらを見つめている。
「………帰さないって言っても、帰るんだろうね」
「……はい」
はぁ、と再び大きなため息をつく降谷さん。
「本当は返事を聞くまで帰さないつもりだったんだけど。君に手荒な真似はできないしな。困ったもんだ」
「…お世話になったことは、本当にお礼を言います」
「今生の別れみたいな挨拶するなよ。言っとくけど、俺は結構諦め悪いよ」
降谷さんの言葉に、ふっと笑みが溢れる。
「知ってますよ。返事は保留ってことで……いいっすかね」
仕方ないな、と降谷さんが苦笑した。
「言っとくけど、俺がこんなに甘いのは君だけだからな。他の奴だったらぶん殴ってる」
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やっち(プロフ) - 凄くいいお話でした。ありがとうございます (2022年9月11日 12時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
アラバ - もう……なんかもう…………………やばかったですほんとに…………このお話思いついて、それを文章に現せるのが尊敬です………………もうなんか、やりきれない思いとか、最後までぐっっと涙をこらえていないと見れない作品でした……………小説、お疲れ様でした(泣)！！ (2021年5月16日 1時) (レス) id: bed3b6d329 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 凄く泣けました!赤井さんや降谷さんとの絡みもとても素晴らしく主人公の設定もちゃんとしていて、なんかこう!言葉に表せないぐらい感動しました！！！！！！ (2021年5月6日 12時) (レス) id: 8b38c910a7 (このIDを非表示/違反報告)
寝子(プロフ) - やはり神作品…何度読んでも泣いてしまうんです。責任とってください…！（謎） (2020年10月10日 7時) (レス) id: 7be43a5c44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんでライム(プロフ) - めちゃくちゃに泣きました。二次創作ものでここまで感動したのは久しぶりです。一つの作品としてめちゃくちゃ楽しめました。作者様、ありがとうございました。 (2020年7月7日 23時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年11月4日 14時
