91 ページ6
.
そう見えるか………っていうか、そうであって欲しい、切実に。そうは見えませんけどね。
軽くパニックを起こしかけている俺をよそに、「まあ考えておいてくれ、明日までに」と降谷さん。
待ってくれるんだ、やっさし〜、と思いかけたけど明日までかよー！！！！ 全然期限ねーじゃん！ なんとなくそんな気がしてたけどさぁ！
「あの………俺、男です」
「分かってるよ。だから君のプライドを尊重して、彼氏って言ってるだろ」
憮然とした顔で睨んでくる降谷さん。うっ、その顔でこっち見るなっ！ 顔が可愛いって罪………！
つか、なにそのどうでもいい気遣い。このさい、彼氏だろうが彼女だろうが、どっちでも同じじゃね？ 降谷さんの恋人になるって結果は変わらないよね？
「……念のため聞きますけど、寝ぼけてませんよね？」
「それ以上質問したら殴る」
「ごめんなさいすみませんでした俺が悪かったんです」
はぁ、とため息をついたら微妙な顔をされた。
ごめん、と謝られ、それはそれでこちらが気まずくなる。
「なんか悩み事増やしてるみたいで申し訳ない」
「ほんとっすよ……勘弁してください」
冗談めかして笑えば、降谷さんが少し顔を赤らめる。……なにその反応。そんな乙女みたいな顔されても困るんですけど。
「気、気の迷いとか？」
「ない」
断言される。逃げ場はないようだ。
俺は頭をかく。
まさか、こんな所で、こんな人から告白されるとは思いもよらなかった。
どうしたもんかな……。
降谷さんは考え込んでいる俺に背を向けて、「ちょっと遅いけど夕飯作るよ。カレーだったよな」なんて言いながら、キッチンに立つ。
降谷さんだけにやってもらうのも申し訳なくて、俺もキッチンに入った。
一人暮らしにしてはそこそこ広いキッチンだが、やはり大の男二人が並ぶにはいささか狭い。お互いの肩が知らず知らずのうちにぶつかって、思わず横を向いた。
降谷さんも、俺を見ている。目があったことに戸惑ったような顔が、焦ったいななんて変なことを思った。きっと俺も同じ顔をしてるはずなのだ。
俺を見る降谷さんの目が、そう告げている。
その瞬間、言いようもないほどの熱が体の中心に集まるのを感じた。
自分でも顔が真っ赤になっているのが分かる。変な汗が出てきて、それ以上、降谷さんを見ていられなくなった。
「………A？」
「こっち見るな」
思わずそう言っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1567人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - 凄くいいお話でした。ありがとうございます (2022年9月11日 12時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
アラバ - もう……なんかもう…………………やばかったですほんとに…………このお話思いついて、それを文章に現せるのが尊敬です………………もうなんか、やりきれない思いとか、最後までぐっっと涙をこらえていないと見れない作品でした……………小説、お疲れ様でした(泣)！！ (2021年5月16日 1時) (レス) id: bed3b6d329 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 凄く泣けました!赤井さんや降谷さんとの絡みもとても素晴らしく主人公の設定もちゃんとしていて、なんかこう!言葉に表せないぐらい感動しました！！！！！！ (2021年5月6日 12時) (レス) id: 8b38c910a7 (このIDを非表示/違反報告)
寝子(プロフ) - やはり神作品…何度読んでも泣いてしまうんです。責任とってください…！（謎） (2020年10月10日 7時) (レス) id: 7be43a5c44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんでライム(プロフ) - めちゃくちゃに泣きました。二次創作ものでここまで感動したのは久しぶりです。一つの作品としてめちゃくちゃ楽しめました。作者様、ありがとうございました。 (2020年7月7日 23時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海星
| 作成日時：2019年11月4日 14時
