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金髪の美女は、少しだけ俺の方を振り返って、優しく笑ったように見えた。
その美しさと、遠い記憶にひそむ懐かしさに、息を飲む。
「あ、あんたは………っ」
美女は男の腹をハイヒールで蹴り飛ばすと、色っぽい声で、「暴力はダメよ」と自分のことを完全に棚に上げて言う。
そして俺の腕を掴んで、立ち上がらせる。
「大丈夫？ 怪我はしてないみたいだけど」
「大丈夫…です」
お礼を言うべきなのだろうと思ったが、複雑な心境が邪魔をして、俺は自然と強張った声になる。
美女は俺が素っ気ないことには何も言わずに、「警察に連絡した方がいいんじゃない？」と冷静に告げた。
俺は慌てて１１０番し、しくしく泣き始めた女の子を抱き上げて、優しく微笑んだ。
「大丈夫。君は一人じゃない……もう大丈夫だからな」
● ● ●
警察署からようやく出てきた頃には、昼もとっくに過ぎていた。
女の子は当分、遠縁の親戚に引き取られることになったらしい。その親戚が優しそうな老夫婦であることを確認して、俺はとりあえず安心して女の子と別れを告げた。
署から出てしばらく歩くと、背後からバイクの騒音が追いかけてきた。
ぎょっとして立ち止まると、バイクも俺の真横できれいに停車する。
「Hey, cool guy」
ヘルメットをとると、光に透くような美しい金髪のあの女が、にっこりと俺に笑いかけた。
黒いバイクに黒いライダースーツが、逆に彼女の色の白さと眩い美貌を際立たせている。
俺はさっと目をそらした。
「……You are just...」
「No, no! It's OK! 日本語で構わないわ」
グロスでぬれた唇が、にっこりと笑う。思ったより人懐っこい笑みに、少したじろぐ。
「……すみません、お礼を言い忘れていて。ありがとうございました…」
「いいのよ。それよりちょっと今から時間あるかしら？」
ヘルメットを投げられた。
女は人のいい笑みを消して、かわりに妖艶な微笑みを浮かべる。
「あなたのこと、もっと知りたいわ………これからわたしとデートなんてどう？」
「……誰なんです？ あなた」
美女は心外だというように、目を丸くする。
「あら、知らないの？ てっきりわたしのファンだと思ってたのに。サインだってあげたでしょう？」
「サイン？ なんの話ですか？」
あらあら困ったわね、と女が肩をすくめた。
「わたしはクリス・ヴィンヤード__________よろしくね」
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海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
