63 ページ20
.
「で、でも結果オーライ…つうか……」
「全っ然、オーライじゃねえつの！！！」
俺はメイクマスクを外し、博士が作ってくれたシークレットシューズ(靴下と一体化している優れものだ)を脱ぎ、マスクを投げ捨てる。
やっと本来の自分が戻ってきた。
「これお気に入りのニットだったのに！！ ブランド物で今期の新作だったのに！！！」
「なんでそんなもの、わざわざこんな時に着てんだよ」
「これしかハイネックがなかったからだろーが！！ 絶対にハイネックにしろって言ったの、お前らだよな！！？」
「わかったわかった。ちょっと落ち着けよ…」
「落ち着いてられるかよ！！ 沖矢さんのフリして、安室さんに適当に合わせてくれてればいいとか無責任なアドバイス言いやがって！！！ 適当に合わせたら無理だったろ！」
「で、でも、俺と赤井さんの言った通りだっただろ？ な？ 頼むからそんな怒るなって……」
うー、と俺はうなる。
まあ確かに、安室さんが屋敷の前に部下を配置しているだろうからそれを牽制してくれとか、安室さんは監視カメラに気がつくだろうとか、いろいろ事前に赤井さんと新一から説明はあった。
気をつけるポイント、うまくごまかす方法、母有希子からの直々の演技指導もあいまって、どうにか乗り切れたがよかったものの……。
結構、ヤバかっただろ、と思う。
ちなみに父優作のスピーチでインタビューしていた「俺」は、変装した母の有希子である。
赤井さんと新一から、「秘密の作戦」があるんだが、なんて持ちかけられた時は、「すげえ、ドラマみたい！」などと興奮していた俺だったが、いざやってみると、俺は完全に損な役回りである。
「こんなことなら協力するんじゃなかった……」
げっそりとしていると、新一の携帯が鳴る。
新一はコナンに声を変えて、電話に出た。
「あれ？ 蘭姉ちゃん？ どうしたのー？」
天真爛漫、無邪気な声を出す弟に恨みがましい目を向けたら、蘭ちゃんの朗らかな声が電話越しに聞こえてきた。
《Aさん、テレビに出てたでしょ！？ 優作さんのインタビューで！》
なんだか嫌な予感がする。
思わず汗をぬぐったら、蘭ちゃんがくすくすと笑う声。
《なんか、すっごい可愛かった〜！ 上手く言えないけど、思わずキュンってしちゃった〜！
恋する乙女って感じだったよ〜、面白いねっ》
ぶっ、と思わず吹き出した新一に、俺は今度こそ頭を抱えて蹲った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 934人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
