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「それ以上のことは、するな」
「……離せ、沖矢昴」
「間違っても、犯人をぶっ殺したりするな」
「聞こえなかったのか? 手を離せと言ってるんだ」
「できない。約束しろ。一発だけだ。あとは警察に引き渡せ__________今の君の顔は、殺人犯と変わらんぞ」
「離せと言ってるんだ!!」
俺の怒声に、しぃん、と会議室が静まり返った。何事かと皆がこちらを伺う。
「君らしくもないじゃないか、落ち着けよ」
「……なんだと?」
「こんな時だからこそ頭を冷やせ。冷静にいろ。犯人のことを考える前に、君の大事な恋人のことを考えろ。
君が人殺しになったら、彼女はどう思うのか」
はっとした。
今にも爆発しそうになっていた犯人への憎悪と怒り。
会議室のガラス窓に映った自分は、確かに見たこともないほど引きつった顔していた。
俺が殺人なんてしたら________________
考えるまでもない。
俺は黙って沖矢の手を振り払った。前髪をかきあげ、深く深呼吸する。
「あまりベタベタ触らないでもらえますかね。気持ち悪いんで」
はぁ、とため息をつく沖矢。
「ご心配どうも。犯人を殺したりしませんよ。再起不能にはしますけどね」
「……君は全く」
沖矢が苦笑いした。
丁度その時。会議室に私服に身を包んだ警視庁の刑事たちがやって来た。
お馴染みの目暮警部に佐藤、高木刑事の面々だ。
現場は一気に緊張感に包まれ、犯人の指示通りに3億円が詰め込まれたアタッシュケースも用意された。
そして俺とコナン君と沖矢の三人で、犯人がこのホール内のボイラー室に立て籠もっている可能性が高いことを説明する。
「狙い目は身代金の受け渡しの時だと思う。僕の予想では、犯人はそれほど大人数じゃないと思うんだ。逃げる時に手間取るし、この見取り図から見て、ボイラー室はそんなに大きくない。大の大人が何人も立て籠もるのには無理がある。人質もいるし多分、五人が限界じゃないかなぁ。ってことは、身代金を取りに行く時、必ず二手に分かれるはずだ。しかも犯人としては身代金目的の誘拐だから、何としても身代金は手に入れたいはず」
「つまり、身代金の受け取りの方に人数を割いてくる可能性が高い、と?」
コナン君に佐藤刑事が尋ねる。
「うん。おそらくね。おそらくボイラー室に残っているのは一人か二人のはずだ。制圧するならそのタイミングしかない」
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時