ノクターン第13番

45 ページ46

内田 復帰戦で即活躍！フル出場で2アシストー






3月9日、

約一ヶ月ぶりの復帰を果たした彼は、ルール・ダービーで2アシストの活躍を魅せ、ビルト紙のベストイレブンとやらに選出されたらしい。

記事を見た瞬間思わず"やった！"と声を上げた。チームメイトと抱き合う写真が印象的だった。

彼の笑顔が、キラキラと輝いていた。






どんな内田篤人も好きだ。

天邪鬼ばかり言う彼も、ソファで一日中寝そべっている彼も、PCばかり弄っている彼も、買い物中ブツブツ文句を言う彼も、

でもきっと、
走っている内田篤人が一番好きだ。

一度しかその姿を見た事がないけれど、そう思う。






もし、夢を叶えあの街に戻ることが出来たら、

貴方が闘う姿を見に行ってもいいですか？



貴方があの街で負けずに闘っているから、私はこの場所で強く在れるんだ。

絶対、笑顔で貴方の元に戻ると約束するよー









「ニュース見たよ。」

篤「あー、そう。」






23時10分、

PC画面の中の恋人は、私の話など聞かず漫画をペラペラと捲っている。






「ベストイレブンって、どのくらい凄いの？」

篤「さぁ、よくわかんねー。」






気のない返事はいつも通りで、
合わない視線はいつも通りで、

こんな時でも一喜一憂せず変わらないその姿に、尊敬すら覚えてしまう。






「篤人くん、復帰おめでとう。」

篤「…どーも。」






改まってこんな事を言われるのは苦手だと知っているけれど、言わずにはいられない。

感情のままに口元を緩ませれば、チラリとこちらを見た彼は"ふっ"と笑った。






篤「まぁ、あれっすね。フレデリックさんの力は偉大だね。」

「え？」

篤「だいぶ助かったわ。まじで、」






"ありがと。"と呟いた彼はやはり漫画に夢中。



でも、

照れ臭そうなその顔が愛しい。
絶対に合わせようとしないその視線が愛しい。






「いえ。少しでも力になれたなら嬉しいです。笑」

篤「ふっ、何なの。その大和撫子な感じ。笑」






Skypeをかけて3分、

やっと合った視線にニコリと笑えば、彼も"キモい。"と言いながら優しく笑って見せた。



くすくす重なり合う笑い声が、心地良い。

46→←44.Atsuto side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す