ノクターン第13番

10.Atsuto side ページ11

「もう、」






良くそんなクソつまんねー話延々と出来るよなー、って毎回思う。

でもそんな話を聞ける時間は、今じゃすっかり俺のお気に入りで、






篤「どうぞ、続けて下さい。笑」

「もう話し終わりました。」

篤「あーそう。いつの間に。笑」






でも別にお気に入りだからと言って聞いているわけじゃないから、こんなやり取りは毎回繰り返されて、



23時を過ぎた頃、

彼女とのこんなくだらなくて無駄な時間が、俺の何より好きな刻、






「じゃあ、そろそろ練習戻るね。」

篤「まだやんの？」

「あとちょっとだけ。気になる所があるから、」

篤「…そ。ほどほどに。」






"じゃ、"と呟きPCを閉じようとしたその時、
"あ、"と彼女が何か思い出したように声を上げる。

なにかと思い画面に目をやれば、得意のにやけ顏でこちらを見ていた。






篤「…なんすか？」

「あのね、この部屋オートロックだから、鍵掛け忘れる心配ないんだ。」

篤「…へー？」

「あと、夜もぐっすり眠ってるからお肌の調子もいいの。」

篤「……で？」






「それだけ。おやすみ。笑」






篤「………」






妙に弾んだ声を残して切れたSkype、






篤「……なんなわけ？」






彼女の話を全く聞いていなかった俺は、最後に残した言葉の意味など気づきもせずに眠りについた。






"そこでね、相馬くんに会ったんだよ。"

翌朝、ふと思い出した会話で気づくことになる。






＜ご無沙汰してます。

先日彼女がそっちに行きました。多分大丈夫だとは思うんですけど、鍵かけなかったり目の下にくま作ってたら一発言ってやって下さい。笑

あと、なんかあったら力になってあげて下さい。よろしくお願いします。＞






相馬さん、見せやがったな。と、






篤「………」






彼女のいないキッチンに鳴り響くのは、一人寂しく歯を磨く歯ブラシの音、



23時10分、

きっと今夜も鳴るであろうSkypeで、どんな言い訳をしようかと考えていたーー

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