【銀魂】真選組姐さん 龍と総督と。

57 祭り篇 ページ9

「……誰だ。」








江戸の橋の上。





長髪の、笠を被った男が自身に顔を向ける派手な着物の男に問うた。




「……ククク、ヅラァ。相変わらず幕吏から逃げ回っているようだな。」



「…ヅラじゃない。桂だ。」



そう、いつも通りに返すが、ちゃらけたような口調ではない。






「なんで貴様がここにいる？幕府の追跡を逃れて京に身を潜めていると聞いたが。」




「祭りがあるって聞いてよォ。いてもいられなくて来ちまったよ。」







そう言って煙管を蒸す派手な着物の男


ーー基、過激派攘夷志士、高杉晋助。









「祭り好きも大概にするがいい。貴様は俺以上に幕府に嫌われているんだ。……死ぬぞ。」



高杉はその言葉を臆する事なく流した。




「よもや天下の将軍様が"参られる"祭りに参加しないわけにはいくまい。」



「！お前、何故それを？……まさか」





「クク、てめーの考えているような大それたことをするつもりはねーよ。だがしかし、面白ェだろーな。」



そこで高杉は一旦言葉を区切った。






こいつらと会うとどうもあいつの顔が浮かんでこらァ。



そんな思いを振り切るかのように再び口を開いた。









「祭りの最中、将軍の頭が飛ぶようなことがあったら、幕府も、世の中もひっくり返るぜ。」





橋の上には高杉の笑い声と、桂の訝しげな、心配気な顔が残った。

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