216.おはよう と おやすみ ページ25
サンジside
キャロットちゃんも泣きながら、それに加わった。
永遠にも感じられる時間をAを温めながら過ごしていると、上からアヤメが何かを言ってるのが聞こえる。
「待ってるよ！……はぁ！？心の準備！？まどろっこしいな…さっさと行けって！」
アヤメが何かを咥えたような動きをすると、ぐるりと身体を回転させて何かを放り投げた。
その瞬間……
「うわぁぁっ！！？」
抱き締めていたAの身体がビクッと強ばり、声が耳元で聞こえた。
抱き締めた身体から感じる鼓動、呼吸に合わせて上下する肩、首筋に当たる確かな呼吸。
「……A…っ！」
言葉が見つからない。
ただただ、また動き出した身体を強く抱き締める事しか出来なかった。
「サンジ君…」
首に回される腕に合わせ、抱き締める力を更に強めて肩口に顔を埋める。
そうだ…その声に名前をクソ呼んで欲しかったんだ。
「やったぁぁっ！！！」
ルフィが拳を突き上げて声高に叫んだ。
その声に仲間達が一斉に動き出し、俺が抱き締める前から後ろから、チョッパーやナミさん、ブルック、キャロットちゃんがAに抱き着いてくる。
更にルフィが腕を伸ばしてぐるぐる巻にしてくるから、密着度が凄いことになる。
体にかかる重みと、仲間達が泣いて喜ぶ声に自然と目頭が熱くなる。
「ちょっ…苦しい！」
「我慢しなさい！心配ばっかりかけて！！」
「そうだぞバカーっ！」
「バーカ！！」
「バカですよー！！」
「ご…ごめん…」
Aの肩から顔が上げられねぇ。
ガキみてぇな嗚咽も震えも壊れた涙腺から零れる涙も止まらねぇ。Aはそれを受け止めるように、俺の頭を抱えたままケタケタと涙声で笑っていた。
「クロ様もごめんね、心配させて」
「クロは死んだよ、頭首様」
Aの笑い声が止まった。
俺の涙も止まった。ルフィがぐるぐる巻にしていた腕を外し、アヤメを見る。仲間達もAから離れた。
「どういう事だよ！」
「言葉のままだルフィ。クロは頭首様と命を共有してた。頭首様が死ねばクロも死ぬ」
「Aは生きてるじゃねぇか！！」
「死んだろ、一度」
Aの表情は、今まで見たことが無い表情だった。
見開かれた目、焦点の合わない揺れる瞳、真っ青な顔をして…喪失感に怯えていた。
「ヨミヨミの実は…私だけにしか影響してなかった…？」
「そうだよ、頭首様」
「嘘だ！！！」
Aが手を前に突き出して炎を出す動作をしたが、何も出なかった。
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銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (
レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました！ (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです！ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀之助
| 作成日時：2018年7月11日 21時
