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キーンコーン。チャイムが鳴る。ホームルームが終わって、少しの休憩に入る。何時もなら「先生の話長かったー!」なんて伸びをするところなのだが。
「……避けられてたよな」
「なーによ、しょんぼりしちゃって。天下のA様ともあろうお方が珍しい。」
「美優ー!……いや、うん。別に……なんでもない」
「はぁ!?それで何にもないは嘘でしょ。話しなさいよー!」
「……引かない?」
「今更」
「じゃ笑わない?」
「それは肯定できない」
「美優に言った私がバカだった」
「わーかったわーかった!笑わないってば!」
なんだこいつ、どっちやねん。心の中でそう呟く。でもやっぱり話したい気持ちはあるなぁ、なんて思って口を開く。
「……玲王に避けられてる気がする」
「なんだ惚気かよ〜」
「惚気じゃねぇ。……なんか、今朝話しかけたら、目そらされたんだけど」
「……へぇ」
「……私、なんかした?」
「……違うと思いますよ〜」
「何よ、なんか知ってんの?」
「……さーね、私には予想するしか出来ませんのでー!」
「その予想聞かせろよ〜……」
「やーだ、次移動だろー?先行くわよ〜」
「うげ、忘れてた。待ってよ〜」
ざか、とペンをポーチに突っ込んで、ファイルと教科書を纏めて掴む。美優の後ろを追いかけるようにして教室へ向かった。
「…………さいあくだ」
「……あちゃー……」
今日の移動、選択授業じゃん。他クラスもいるよ。そんな言葉が今更頭を過った。
「ねぇねぇレオ!ここ教えて〜?わかんなくって!」
「レーオ!隣座ってい〜?」
「あっ、ずるい私もー!」
取り巻きの女の子達の声が教室に反響する。……なんで避けられてるときに限って、会うんだろうか。しかも選択授業。同じになることなんてごくごくまれだろうに。
「なんで今……」
「……まあまあ、遠くに座ればいーじゃん。」
そんな風に美優に言われて、一番後ろの列の席に座る。ど真ん中で女子に囲まれる玲王に、なんだかモヤモヤした。
「……バーカ」
その日の授業は、なんだか頭に入ってこなかった。
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きりんさん - キュンキュンがとまりません〜!!!!! (2023年3月31日 18時) (レス) @page16 id: e58024eca2 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 初めまして!お話し良すぎて…好きすぎました🤦♀️💓これからも応援してます、楽しみにしてます! (2023年3月31日 17時) (レス) id: 37cdf4c57c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - お、ついに告白かぁ?!?! (2023年3月31日 8時) (レス) @page16 id: 341e3469a0 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶みかん(プロフ) - うわぁぁぁ、好きです…!!!これからも更新頑張ってください…!! (2023年3月30日 18時) (レス) @page14 id: 9dacbb6ae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2023年3月28日 18時