エンカウント＿１１ ページ15
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喋っていたらいつの間にかアパートの駐車場に着いていた。家の場所をはっきり知られてしまったが、なんだか吹っ切れていてどうでもよかった。
シートベルトを外して、送ってくれたお礼を伝え、車を降りようとする。
「A」
「うん？なに？」
「いや、もうちょい喋らん？思て」
志麻くんはそう言った後、照れくさそうに少しだけ視線を逸らした。
あまり見たことのない志麻くんにドキッとしてしまう。
「……いいよ。えーと、何話す？」
「んー、まあ話さんでも別にええんやけど、要はお前とおりたいんよね」
微妙に目が合わない。薄暗い車内で、志麻くんの顔が仄かに色付いている。
志麻くん、もっと恥ずかしい台詞いっぱい言ってなかったっけ？
まぁ、家まで送ってもらったし。
「いいけど」
そして、フロントガラスの方に顔を向けた。
静寂は居心地の悪いものではなかった。ただ、志麻くんが言い出さない限り、私は何も言わない。一緒にいたいのは志麻くんで私はそれに付き合ってるだけ。私からは何もしない。
それで、この均衡は保たれるはずだった。
髪に触れられる感覚があった。肩下まで伸びた私の髪を片手で掬うように取る志麻くん。
何をするつもりなのか、彼の行動を見守っていると、不意に彼は瞼を閉じて。
私の髪に口付けた。
「……！？」
声が出なかった。頭が真っ白で、表情のことを考える余裕なんてなかった。
「髪長いとこういうことできてええな」
ショートも好きやけど、と言いながら志麻くんは私の髪から手を離す。
「A。ほんまに俺とやり直す気ない？」
志麻くんの真っ直ぐな
今、志麻くんに恋愛感情はない。だからすぐに、断ればいい、のに。
やっぱり声が――出ない。
「……っ！」
助手席のドアを開け、外へ降りてドアを閉めると一目散に駆け出した。
同僚が帰っていることは知っているので、部屋の前に着くや鍵のかかっていない扉を開けて中に入る。
バタンと音がした直後鍵とドアロックをかけ、上がり口に座り込んだ。
「……心臓、うるさ……」
走ったせいだ。顔が、身体が熱いのも、走ったせいだ。
「Aおかえり、大丈夫？雨すごかったん？」
「いや。割と、止んでた。ただいま」
「息切れすご」
同僚に笑われても息切れはなかなか治らず、動悸が後を引いた。
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夢女子S氏(プロフ) - 更新,,,,まってます！！ (2021年8月9日 8時) (
レス) id: 59c0caef7c (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - LiLi Kaさん» ありがとうございます！最近何故か時間の流れが早くて更新が遅くなってしまっているのですが、楽しんでいただければ幸いです……！ (2020年11月11日 0時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - とぅーかわさん» レス遅れてすみません、ありがとうございます！smさんの覚悟を表した台詞を気に入っていただけて嬉しいです^^* (2020年11月11日 0時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
LiLi Ka(プロフ) - 更新ありがとうございます！すっごく好きなお話なので嬉しいです！ (2020年10月29日 22時) (レス) id: ef0b88e85e (このIDを非表示/違反報告)
とぅーかわ(プロフ) - 更新お疲れ様です、「ダッサい俺にもっぺん惚れろ」ってセリフめちゃくちゃ好きです・・・ﾊｧｧ尊い・・・ (2020年9月20日 23時) (レス) id: a4e63592ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア
| 作成日時：2020年8月27日 17時
