Love Traps【urt】【skt】

episode 19 ページ21

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なんて言ったらいいか分からなくて、足元を見つつ当たり障りのない返しをする。

「そうなんですね」

口を動かせば、もう少し言いたいことがあったような気もしてきた。思い出したいけれど、頭が真っ白で働かない。

私、どうしてしまったんだろう。

「……そうだよ」

ぽんぽん、と頭を撫でられた。

そのままさらにわしゃわしゃされて、「ちょやめてください！」とうらたさんの手を掴めば彼は笑った。

気分を変えようとしてくれたのだと分かって、また、胸の奥が疼くような感情が募った。


□■□


「Aさー、彼氏でもできたん？」

学食で友人と昼を済ませて軽く話していて、唐突に尋ねられた。

何故かうらたさんの顔が脳裏に浮かぶ。

「できてないけど！？なんで？」

「何に誘っても全部断ってくるから、そうなんかなーて」

動揺したことに彼女は気付かなかったようだ。スマホをいじりながら喋っているからかもしれない。

この子は癖がある。言いにくいことや聞きにくいことを話題にする時、相手と目を合わせないのだ。

……寂しい思いさせてたのかな。

「ごめんくろ……。今日3コマで終わるからさ、映画行こ？」

「！！ うん！！！」

ぱあああっとくろの表情が輝き、大袈裟に首を縦に振る。そして鼻歌交じりに近くの映画館の上映スケジュールをスマホで調べ始めた。

可愛いなー……。なんでこの子に彼氏がいないのか不思議だわ。私よりあなたの方が絶対彼氏できるでしょうに。

もっと友達大切にしよう。そう決めた矢先、スマホが振動してメッセージを通知した。

“撮影夕方に終わんだけど、会える？”

――うらたさんからだ。

“すみません、友達と映画行く予定が”

「…………」

続きが打てなかった。

くろを大切にしたいけど、くろはまたいつでも遊べる。でもうらたさんは、いつかアメリカに帰ってしまう。

そうなったら、多分もう彼と会うことは――。

「……喜んでるとこごめん、やっぱ今日はやめてもらってまた今度でいい？」

「彼氏いんだろおい！！」

「彼氏じゃない！でもごめん！」

うらたさんが帰るまでは。彼の方を、優先したい。

「……いーよ、許してやんよ。あと、相談あったらいつでも言えよ」

くろはそっぽを向きながらも温かみのある声色で言った。

優しすぎる……。

「うん、ありがとう」

笑顔で言って、打ちかけだった文章を消し、再度入力して送信した。


“5時からなら会えます”

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