episode 10 ページ11
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銃声はすぐに止んだ。
そして、私を攫った人たちはみんな、リーダーを含めて全員死んでいた。
……銃を出す間も与えず、殺、した……。
呆然とする私は、コツン、と近くで鳴った靴音で我を取り戻した。
「怪我はしているか」
「い、いえ、してないです」
「そうか。おい、女を家まで送れ」
「はっ」
「ま、待ってください!」
去ろうとした赤髪を、つい引き止める。
赤髪は振り返ってきて、感情のない声で言った。
「何か用か」
「その……まず、ありがとうございました。助けてくれて」
「……礼などいい。忘れろ」
「それと!」
再び踵を返しそうになった赤髪に、大きめの声を投げかける。
「その……何者、なんですか?銃持ってたり、人……殺したり……。あの路地裏も、ニュースにはならなかったし」
こんな風に聞くなんてどうかしてるのかもしれない。
でも、気になる。この人の正体が。
「……聞きたいか?」
「はい」
強く頷く。すると、赤髪はふっと口元で笑った。
そして私は、額に銃口を突きつけられた。
「教えてやってもいいが、その後すぐにお前はこの引き金を引かれることになる。命が惜しければ、俺に関する記憶は全て抹消しろ」
無情な深紅が私を見下ろす。
見ているだけで身体が凍えそうな威圧感、心の無意識まで見透かされているような冷徹。
私は――本気で“怖い”とは思わなかった。
「教えてください」
「……話を聞いていたのか?教えればお前は、」
「殺されないです。あなたは私を殺さない。だって、二回も助けてくれた」
路地裏で偶然目撃した時、あの時は気付かなかったけれど、よく思い出してみれば私は黒服の誰かから銃を向けられていた。
この人はそれを手で制して私に近付き、今朝もそばにいてくれた。
さっきも助けてくれたし、今、教えてくださいと言った私を止めようともしている。
本当に私を殺す気があるのなら、私はもうとっくに死んでいる。
「……銃が怖くないのか」
「撃たれないと分かっていたら怖くありません」
……嘘。ほんとはちょっと怖い。
だけど、知りたい。この人の女だって勘違いされたせいで私は攫われたんだから。誰なのかくらい分からなきゃ、嫌だ。
「……は。いいな。いい性格やん」
彼が唐突に私を抱きしめた。
わけではなく、体の後ろで縛られていた手首の縄を切ってくれたようで、圧迫感から一気に解放された。
「ええよ。ついて
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エス(プロフ) - ノアさん» いやー!!続きが楽しみですね!一生付いてきます!これからと体は気をつけて更新ゆっくりでもいいので頑張ってください!それと続き編ありがとうございます! (2020年8月27日 20時) (レス) id: 3190ad61df (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ミルクショコラさん» 夏休みですか!最高ですよね!!短いのは残念ですが、是非とも満喫してください^^* (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - エスさん» そう言っていただけて嬉しいです!私もどうなるかわかりません笑 これからもお付き合いくださると嬉しいです! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 東雲さん» こちらこそありがとうございます!!長らくお待たせ致しました(汗) 続編移行したので是非これからもよろしくお願いします! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - わかさん» 私がきっかけなんですか!?めっちゃ嬉しいですありがとうございます……!これからも頑張ります! (2020年8月27日 17時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年9月5日 19時