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____2008年３月
「誘拐は懲役三年以上七年以下、だ」
「うん、違うよ？」
小さな少女を連れ、高専の医務室に行く。
「はぁ…。急に連絡してくるから何かと思えば…」
大袈裟にため息をついた後、しゃがみ込んで、僕の制服の裾を掴む少女と目線を合わせる。
「隠し子か？にしては酷い状態だな」
「違うってば。硝子は僕を何だと思ってんの？」
不安げに僕と硝子を交互に見つめる少女の頭を撫でてやる。
「とにかく診てやってよ」
近くの椅子に少女を座らせ、硝子が紙とペンを取り出す。
「お前、自分の名前言えるか？」
「宗可馨。你是谁？」
聞こえてきたのは僕らには馴染みのない言語。
「……ちょっと、どういうこと？」
違和感の正体に気付いた硝子が僕に顔を向ける。
「面白いよね、それ」
そう。
硝子は日本語で話したのに、彼女は中国語で返してきた。
恐らく彼女は中国語しか話せない。
それなのに僕らの言葉を理解している。
「六眼で見てビックリ。五感での情報をオートマで呪力に変換して脳に伝達してんの。いや、オートマは語弊か。元からそういう体だとしか言えないかな」
「そういう術式ってこと？とんでもないな」
目、耳、鼻、口、手。
それら全てから得た情報はそれぞれ視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚として脳に伝達される。
それが普通の人間だ。
だが彼女の場合、得た情報は呪力として脳に伝わっていく。
だから言語の隔たりはない。
「ホント、とんでもないよ」
更に恐ろしいのはその小さな体の中で蠢く
六眼で見てもその正体は分からない。
分かるのは
「私達の言葉が伝わるのはいいとして、この子が何言ってるのか分からないのが問題だな。これじゃあ教えるのも難しいだろ」
「僕中国語できるから通訳するよ？」
「マジ？アンタいつの間に勉強したの？」
硝子が少女____クゥシンの胸に聴診器を当てる。
「言語うんぬんは後々どうにかするとして、その子、とにかく細いんだよね。訳あって病院に連れて行くわけにもいかないし」
「この子いくつだ？見た目は３、４歳くらいといったとこか…」
「多分、６歳」
「…は？マジで言ってる？」
硝子が驚くのも無理はない。
多く見積もっても幼稚園児にしか見えない程、彼女は幼く見えるし、小柄だ。
「こんなの過度の栄養失調だろ…。普通なら死んでてもおかしくない」
「…
僕の言葉に硝子は目を見開く。
「……ホント、とんでもない子拾ってきたな」
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緋雪(プロフ) - 着手するかはわからないのですが、発想がめちゃくちゃ面白いと思いました、、！ (6月4日 1時) (
レス) id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
もやし - 続き待ってます！！ (2022年8月12日 17時) (レス) id: 2aa5ee0a9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シバ | 作成日時：2022年4月9日 23時
