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突然の攻撃に理解が追い付いていない呪霊がコウから距離を取る。

隣に立つコウの手に視線を向けると、案の定、彼女の指の三本がなくなっていた。



「痛い?」


「そりゃあね」



痛みは感じるようだ。

さて困った。

もし僕の予想が外れたら、彼女は一生指が不足したまま生きていくことになる。

どうしようかと唸っていると、コウが妙なことをしていることに気付く。



「何してんの?」



どこで拾ったのか、大きめのガラスの破片で自らの首に傷をつけている。

白く細い首筋からは血が流れていた。



「首、切るの」



はたから見ればとんでもない光景だ。

だが。

もし僕の予想が当たっているなら、後々とんでもないことになる。

確かめるしかない。

もし外れればコウは死ぬ。



「僕が切ってあげるよ」



意を決して、僕は術式でコウの首を切った。

鮮明な赤と共に首が飛ぶ。


その途端、首を失ったコウの身体から禍々しい呪力が溢れ出した。



(なんだ…これ…!?呪力か!?)



そしてなくなったはずのコウの首が再生していく。

ついでに指もだ。

だがそこに小さな可愛らしい少女の面影はなく、異形の怪物がそこにいた。


すると呪霊の様子がおかしくなった。

コウを恐れたのか、後ろに下がり小さく縮こまる。

中々に滑稽な姿だったが、どこか違和感を感じる。


まるで呪霊のその様子は、コウに畏れをなしてひれ伏せているかのような。


そこからは一瞬だった。

即座に距離を詰めたコウが呪霊を軽々と踏み潰した。

瞬殺だ。


そんな彼女の姿を見て僕の脳裏を掠めたのは、幼い頃何度も聞かされた作り話に出てくる異質な存在。



“悪魔”


呪術師の家系に生まれた子供なら誰でも知っている話だ。


古くから世界には”悪魔”と呼ばれる、人間でも呪霊でもない存在がいると言われており、その”悪魔”は助けを求めれば命と引き換えに手を貸してくれるという。


子供の躾に使われるようなよくある話だ。

誰も信じちゃいない。



それなのに、何故か僕にはコウがその”悪魔”としか思えなかった。




「祓えた」



異形の頭がどろりと溶け出し、いつもの顔に戻る。

嬉しそうに笑うコウは、いつも僕とくだらない遊びをした時に見せる表情とはまた違った顔を見せる。


呪いを祓ったとは思えないくらい、楽しそうだった。

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緋雪(プロフ) - 着手するかはわからないのですが、発想がめちゃくちゃ面白いと思いました、、! (6月4日 1時) (レス) id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
もやし - 続き待ってます!! (2022年8月12日 17時) (レス) id: 2aa5ee0a9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シバ | 作成日時:2022年4月9日 23時

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