35. ページ35
先ほどまでのやりとりが全て筒抜けだったのだと遅れながらAも気づき思わず苦笑いした。
「それについては全部が終わった後に思う存分すればいい。今ははこれからのことを考えるぞ。A、W国に協力するにあたりX国の情報を話せるか」
「全てお話しします。ただ、その…ご存じだと思いますが私はあまり国家に関わらせてもらえなかったので、お役に立てるかどうか…」
「…一つ聞く。Aは処刑される本当の理由を知っているか」
グルッペンの固い声に、Aは一瞬息を詰まらせたが苦しそうに顔を歪めて頷いた。
「……はい。私が見つけたあの“草”は、違法な薬を作る原料であり、X国はそれをつかって使い捨ての兵士を作ったり、王宮内に使わせたり、他国に売っていたこともあるようです。もちろんそれをつかった、その…実験も…」
「ああ、なるほど。あのX国の外交官、そこまでは言ってなかったがやはり人体実験はやってたのか。まあ他国に売り渡すのに性能を確認しないほど馬鹿ではなかったということか。ただそんなものを使ってまで我欲を満たそうとする愚か者ではあったようだが」
「なら、最低限の戦争は難しいかもしれへんな…少なくとも薬を使っとる奴に理性はないやろし殺すしかないやろ。俺らができることと言えば、なるべく国民に被害を出さへんこと、戦意のない兵士への降伏勧告くらいか」
「ゾムを使って最短距離での王宮制圧と、最前線での引き付けが重要だな。最前線はいつも通りコネシマとシャオロンが暴れれば十分だろう。ロボロは今回ショッピがいない分後方遠距離支援に回ってもらって通信担当は大先生に任せよう」
「それなら王宮制圧はゾムとひとらんでええんちゃう？銃を使わないスタイルのひとらんの方が潜入に向いとるやろし」
「トン氏、お前はどうするんだ？」
「ワイは指揮本部であんたのお守りとオスマン守らなアカンやろ。けどグルッペンの作戦が電撃戦として、ここに誰も置かんのはさすがにやばくないか？」
「それに関してはロボロ隊に一任しようと思っている。あそこなら機密情報を扱える人間もいるから守る優先度の判断も遅れないだろう」
「ま、その分ワイらが手早く済ませればええだけか」
「X国の戦争は前に少し聞いたことがあるが数で圧倒する戦いが主や。ならその数を送り込まれる前に上を潰してしまえばいい」
最後にぐっと拳を握込み、潰すという表現をしたグルッペンは黙って聞いていたゾムを見る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
