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その日しんぺい神は医務室に来る患者も少なくいつもより時間の余裕があることから薬棚の整理をしていた。
この薬は最近多く使ったからトントンに追加で請求、包帯や痛み止めも必ず請求、とメモを取っていると医務室のドアがいきなり乱暴に開けられた。
神聖な医務室に乱暴に入ってくる奴は誰だと振り向いたしんぺい神は目を見開き、すぐに目を細めて気を引き締めた。
「ぺ神、Aが、Aを助けてや…！」
Aを横抱きに抱えたまま行儀悪く足で医務室を開けたのだろうが、それを叱れないほど常にはないほど狼狽したゾムが縋るように言い募る様子に、しんぺい神は落ち着かせるように言う。
「ゾム、ゆっくりA様を寝台に乗せて。話は診ながら聞くから」
メモをその場において手早く治療用の手袋を両手にはめるとゾムが寝かせたAに近づく。
呼吸はしているものの浅く、そして少し不規則であり顔色は言わずもがな青白い。
「…毒か？」
「なぁ、ぺ神、A助かるよな…？」
「今んとこは安定しとるように見えるけど…何があったんや？」
ゾムは事の経緯をしんぺい神に話した。
急にX国の外交官とその従者がW国にやってきたこと。
急遽オスマンたちが外交することとなり、念のためゾムは応接室の通気口の中で待機していたこと。
外交の途中で従者が我々軍のメイドと入室し、二つのカップをX国の外交官とAの前に置いたこと。
その後、X国の外交官の後ろに控えた従者の視線がAだけに注がれていたこと。
顔を動かさず視線だけがカップを持つAに注がれていたことに直感で毒を連想したゾムはAを止めるべく通気口を飛び出したがAは中身を飲んでしまったこと。
苦しそうに片手で胸を押え、小さく痙攣しながら震える手でどこからか取り出した錠剤のようなものを飲もうとしていたこと。
結局飲めずに床に落としてしまったそれを本能的に掴みA以外のカップを手に持って一緒に口に含み、Aに飲ませたこと。
「錠剤？」
怪訝そうなしんぺい神にゾムは確信なく不安そうに頷いた。
「多分…そのあと少し症状が落ち着いたように見えとるから」
「なら薬というより解毒の類かも。ゾム、ちょっとA様を脱がせるから出て、あとトリシアも呼んでや」
Aの状態を軽く見ていたしんぺい神がそう言って寝台のカーテンを閉めようとした瞬間、またも乱暴にドアが開けられトリシアが飛び込むように駆け寄ってきた。
「A様…！」
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
