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深く息を吐きながらコネシマの言葉に耳を傾けていた鬱先生は目を閉じゆっくりと銃を下ろした。
いきなり銃を向けられ唖然としていたX国の外交官とその付き人が怒鳴りだそうと顔を顰め口を開くと同時にオスマンは重く言い放つ。
「あなた方は今“我々”に殺意を向けた。その罪、その身を以って思い知ってもらう」
何も怒っているのは鬱先生だけではなかった。
オスマンの怒気の籠った言葉と同時にコネシマは素早くX国の二人の背後に回り込み首筋を手刀で叩き意識を奪った。
倒れ込む二人にオスマンは大きく息を吐き、鬱先生は苦々しく顔を歪めながら銃を懐に仕舞い、ふらりとゾムが抱えるAの傍まで行きその顔を覗き込む。
青い顔だが、生きている。
生きてさえいればあとはきっとしんぺい神が何とかしてくれるはずだとゾムの肩に手を置いた。
「ゾム、Aさんのこと頼むで」
「…大先生」
「この中で一番早くぺ神のとこ行けんのはゾムだけやから」
弱弱しく呼ばれるゾムの声に鬱先生は自身も辛そうにぐっと歯を食いしばりゾムを優しく諭す。
Aを助けるためだという言葉にゾムは小さく頷いて急いでその場を後にした。
「大先生、行ける？」
「ごめんマンちゃん、今行く」
二人を見張るコネシマに見送られて鬱先生とオスマンは応接室を後にし急ぎ足で総統執務室へ向かう。
ノックもせずにドアを開ければグルッペンとトントンが緊迫した圧を醸し出し二人を迎え入れた。
「話はロボロから聞いてる。A殿の容態はどうだ」
「今のところは多分、としか。何でAさんが持っとったか知らんけど多分解毒薬かな、あれ」
「ゾムがA様に飲ませとったあれか…」
「とにかくあの二人は地下牢にでもぶち込んでおけばええやろ。A殿の回復を待ちながらX国をもっと調べる必要がありそうだな」
自国の、ましてや王族を殺すなど不敬どころの騒ぎではない。
明らかに国が関与していると睨んだグルッペンに鬱先生はチーノにも伝えた方がいいと助言し、トントンが後で伝えることとなった。
「しかし、いきなり訪問しておいてしらを切るばかりかA殿を殺そうとする意味が分からん。A殿がこの国に来たことと関係があるのか」
「あったとして許せるもんやないやろ」
「トントンの言う通りや。さすがにうちの国でA様に手を出されて黙っとるわけにはいかんよ」
オスマンの憤慨に3人は同意したが今後の方針についてはAの回復を待ちつつ会議することとなった。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
