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応接室の天井の通気口が勢いよく開き、この軍基地ではトレードマークとなる緑のパーカーが初めて見せるほど焦った表情でAに手を伸ばした。
「飲むな！A！」
叫ぶゾムの言葉空しく、Aはすでにティーカップの中身を嚥下していた。
嚥下してすぐに感じる熱を持った喉の痛み、胃がひっくり返りそうなほどの嘔吐感と痺れ始めた指先にAは本能的に身の危険を感じティーカップを投げ捨てた。
割れるカップの音を聞きながら体を支える力が急になくなり床に倒れ込む。
それでも外から見えない腰元に震える手を入れピルケースを取り出しその中から小さく丸い一粒を取り出した。
「A！！」
Aを抱え起こす悲痛なゾムの叫び声の中、Aがその一粒を口に含もうとしたが痺れた指先では叶わず床に零れ落ちた。
すでに痙攣しながら意識が朦朧としていたAの瞼が下りる寸前だった。
ゾムはAの意志を汲み取って隣のオスマンのティーカップを乱暴に持ち床に落ちた一粒と同時に口に含むと、躊躇うことなくAに口づけ強引にその口を開いた。
重力に沿ってゾムの口から伝うものを能動的に呑み込んだAは数秒して眉を顰め、次の瞬間大きく咳き込んだ。
激しく咳き込みながら弱弱しい力でゾムの裾を掴むAだったがそのままふっと意識を失いゾムに身を委ねる形となった。
しかし、その呼吸は浅いながらもしっかりしており、痙攣も治まっている。
ゾムは泣きそうに眉を下げながらAの体に障らないようにきつく抱きしめた。
「大先生、落ち着け。Aさんは無事や」
コネシマの緊迫した口調の先で、鬱先生は銃口をX国の外交官に向けたまま荒い息を隠すように鋭い殺気を銃口と共に向けていた。
ゾムが急に現れ、Aが倒れ込んだ瞬間。
それを見た鬱先生はAに毒が盛られたことを瞬時に察し怒りの衝動のまま懐の銃を素早くX国の外交官に向けた。
コネシマとオスマンが止める間もなく動いた鬱先生にここで事を起こせばW国の責任問題に繋がると思ったコネシマは必死に鬱先生を諫めようと声をかけていた。
「大先生、ゆっくりでええ、銃を下ろせ。今がその時やないことくらい分かっとるやろ」
「…こいつらはAさんを殺そうとしたんやぞ。こいつらのせいで、ずっと、Aさんは」
「分かっとる。グルッペンもこのまま帰すことはせんはずや、けど今殺すのがあかんことも分かるやろ」
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
