【wrwrd】強さを教えて【zm】 (ページ19)

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事の始まりは2時間前。

Aとゾムが共に基地内を歩いていると、何やら前方が騒がしく二人して喧噪の元を覗いてみれば、コネシマとシャオロンが模擬剣片手に追いかけっこをしていた。

「待てやシャオロン！お前もう許さへんで！」

「鮭にマヨネーズもケチャップも変わらんやろ！」

「変わるわボケェ！！」

どうやらコネシマが食べるはずだった鮭に、ケチャップをかけられたことが発端らしい。
喧嘩するほどなんとやら、口は悪いがそこに嫌悪は一切なく本当にじゃれあっているように見える二人を見て、Aはふと笑みを零し、呟いてしまった。

「ふふ、いつも楽しそうですね」

本当に言葉通りの意味なのだろう。
少しだけ眩しそうに、羨ましそうに微かに目を細めたのを見てしまったゾムはふと一瞬考え込みすぐに答えを出した。
Aの手を引いて喧噪の中心である二人に駆け寄ると腰からカラーボールを取り出して的確に二人の顔に投げ当てインク塗れにした。
急に外野からの攻撃に唖然としていた二人だが、ニヤニヤと口角を上げているゾムを見て瞬時に把握し一斉に襲い掛かってくる。

「ゾムお前やりやがったな！」

「お前もええ加減に成敗じゃ！」

模擬剣片手に鬼気迫る表情で襲い掛かる水色のインクに塗れたコネシマと黄色いインクに塗れたシャオロンにAは手を繋がれたまま咄嗟にゾムを見れば、ゾムもAを見て「しっかり掴まっててや」と言ってAを横抱きに抱え上げた。
そこからはコネシマとシャオロンVSゾム(とA)による追いかけっこの開催である。
Aを抱えたまま基地内を駆けまわり、2人の猛攻を避けながら時折追加インクをお見舞いするゾムに激高する二人。
内ゲバに慣れた幹部の部下たちは揃って道を開け、何やら通信する素振りを見せていることから恐らく他にも伝えているのだろう。
それでも皆がとても楽しそうに、外野からはむしろガヤさえ聞こえてきてAは思わず声を上げて笑ってしまった。

「これが俺らや！楽しいやろ？」

「はい、とても！」

楽しそうなAの様子に気が付いたゾムがどやっと言えば、Aも満面の笑みで肯定した。
しかし、そんな楽しい時間はトントンの強襲により呆気なく幕を閉じた。

そして総統執務室で今に至る。
鬱先生はたまたまグルッペンに用事があったようで、トントンに連れられた4人が入ってきたときには驚愕からグルッペンと目を合わせていた。