【wrwrd】強さを教えて【zm】 (ページ17)

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「あー、ちゃうねん。Aが考えとる通りやないで」

「…と言いますと」

「それ、作ったの大先生やねん。で、小麦とか砂糖とか育てたのはひとらん」

人数分のケーキや焼き菓子など色とりどりのお菓子たちとゾムを交互に見たAは目を見開き固まってしまった。
その様子に、その場にいた三人が三者三様に笑みを零した。

「やっぱり驚きますよね。でも大先生の作るお菓子はとても美味しいので私も好きです」

「ひとらんが作る小麦や砂糖もだけど、野菜とか卵とかも作ってるからそれを使ったスイーツも美味しかっためう～」

「ちなみに今回は俺も手伝ったで」

ゾムの言葉に一番反応を示しさらに目を丸くして驚くAにゾムは楽しそうに声を上げて笑い、エーミールは納得したように小さく頷いた。

「なるほど、だから昨日の夜大先生一緒にいたんですね」

「見られとったんか」

「内緒だったようなので声はかけませんでしたが」

「待ってください…え、ゾムさんもお菓子を作られるんですか…」

よほど衝撃的だったのか、「この美味しさが…？」やら「女として…」やら呟くAにオスマンは苦笑いしながらフォローを入れるも、Aの表情がさらに険しくなるだけだった。

「気にしない方がいいですよ。単に趣味の範囲ですから」

「趣味の範囲でこれだけ美味しいのですか…」

「おっと藪蛇やったか」

「気にしすぎちゃうん？何ならここのおる間簡単なものなら教えてもええけど」

手料理の力量を気にするAにゾムがなんとなしに提案すれば、深紅の瞳が輝き食いつくように勢いよく何度も首を縦に振った。
あまりの勢いの良さにきょとんとしたがすぐに声をあげて笑いながらお菓子作りの指南役を買って出た。

「ええよ、今度何作りたいか考えといてや」

「はい」

淑女らしく嬉しくとも大きな声を上げることはなかったが、それでも本心からとても嬉しそうに微笑むAはまるで花開くように可憐で、三人の心に一時の癒しを与えた。