月永家との関係【1】 ページ7
転校初日は校内案内だけしてもらった。放課後に必要な場所やよく使用するであろう教室を案内してくれた後に残りは疲れてるだろうから少しずつ教えると泉くんに言われたのでその日は素直に帰宅するも、途中にレオくんの妹のるかちゃんに会ったから最近のレオくんはどうか聞いたら部屋にこもってるらしい。今にも泣き出しそうなるかちゃんによると、ご飯も食べていないらしい。
「お姉ちゃんからお願いしてみて欲しいの」
「私が行って会ってくれるかな……」
るかちゃんがダメなのに私が行って良いものか。悩んだ末に、一度家に帰ってからまた来るとるかちゃんに言い帰宅する事にした。
夢ノ咲学院の制服を着てレオくんに会うなんて絶対しちゃいけない。今のレオくんにとっては危険因子である。
「お、Aおかえり！学校はどうだった？変な事されなかったか？大丈夫だったか？」
「だ、大丈夫だよ？泉くん居るし」
帰るなり海斗にぃが暑苦しく詰め寄って来た。アイドルなのになんでこんな暑苦しいの。ステージやテレビでは爽やかなカッコイイアイドルなのに。
「泉？あぁ、瀬名か……」
「それはそうと。さっきるかちゃんに会って頼まれ事したからお隣さん行ってくるね」
泉くんの名前を出した途端顔が怖くなったので先程の事を報告して自室で着替えて家を出る。チャイムを押すとるかちゃんが出てくれて、中に入れてくれた。
「お姉ちゃん、よろしくお願いします」
可愛らしく頭を下げてるかちゃんはリビングへ行ってしまった。まだ不安そうな面持ちだったけれど。
「レオくん？良ければ部屋に入れて欲しいんだけど……」
レオくんの部屋の戸をノックして声をかける。返事はなかったけど、しばらく待つと少し開けて顔を見せてくれた。
「ルカに言われて来たのか？」
「うん。迷惑だったかな……？」
「そっか。うん。入っていいぞ」
元気もなければ目の下に隈ができている。余計に心配になってきた。ご飯食べてないだけじゃなく睡眠も取れてなさそう。
「レオくん、寝れてないんでしょ」
そう聞いても返事は無く、ただ私に抱きついているだけ。普段のレオくんからは想像出来ない事だけど、今のレオくんなら有り得る。それほど限界スレスレ。もしくはオーバーしてる。
「どうしたら寝られそう？」
「……Aが居てくれるなら」
「そっか」
聞いてみれば間が空くけれど返事はしてくれる。嬉しい答えに思わずレオくんの頭を撫でてしまったけれど、嫌がる素振りはなかった。
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作者名：のあ | 作成日時：2022年6月8日 0時
