貴方のための騎士 (ページ48)

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追うべき物【2】ページ48

「待って明星くん……！」

学院中の部屋という部屋を開けてまわる明星くんになんとか追いつく。ちょうど立ち止まって考え事をしていたようで、聞けば凛月くんが提案した理由に気がついたらしい。それを聞いて凛月くんの頭の良さを改めて実感した。

「ちょっとぉ、うるさいんだけど？」

突如聞こえたその声の方を向けば、ずっと捜していた人物がそこに居た。

「【DDD】は普段の『S１』とちがって、生徒も教室でドリフェスを観戦する必要はないはずでしょ？みんな一般客に交じって外で観戦してるのに、どうして校内をうろついてるやつがいるわけ？……しかも#瑠璃#ちゃんまで」

明星くんの事見ながらを忌々しそうにそう呟く。私に視線を向けた時にはその忌々しさは無かったけど。

「あの、すみません！このへんで、ウッキ～を見かけませんでしたか？」

「明星くん、それじゃ伝わらないよ……」

ちゃんとした名前を告げずに居場所を問う明星くんに呆れつつも泉くんに視線を戻す。彼は私よりも明星くんとの会話の方が重要らしい。

泉くんと向き合って問うも、彼は面倒臭いのか呆れているのか、明星くんを罵倒し始めた。こうなっては私でも止められるかどうか、と言った所だ。

「ウッキ～……？何？猿？猿なら鏡を除きこめばそこにいるでしょ～、知能指数が低そうな顔しちゃってさぁ？あぁ、Aちゃんは違うからねぇ」

泉くんは明星くんに厳しい視線を向けながらも、私の存在も忘れてはいないようだ。あくまで全ての言葉は明星くんに向けた物であって、私は関係ないと遠回しにだが伝えようとしているのは分かった。