練習日数が増えました【1】 ページ36
ガーデンテラスに戻ると、泉くんが待ちくたびれたと言わんばかりに私を見つめていた。思わず謝るとため息をつかれてしまった。私何もしてないはずなんだけど。
「それで、要件は？」
「あのさAちゃん。新入り…….かさくんに付きっきりでレッスンしてあげてくれる？」
「突然どうしたの？珍しい……」
泉くんにしては珍しい、というか全く予想していなかった話だった。けれど裏を返せば司くんが泉くんに認められるレベルになってきた証拠。週3日だけれど一緒にレッスンしてきた私からすれば嬉しい話。
「それなりに実力が着いてきたとはいえまだまだだから。それにKnightsに入りたいのは本気みたいだし？」
「なるほど……」
ここまで言うって事は泉くんは司くんをKnightsに入れる気があるみたいで少し安心した。多分私に頼んだ時点でその気でいたんだろうけど。泉くん私と真くん以外には素直じゃないからなぁ。
「それならもう少しレッスンの日数増やしてみるね。ちょうど今日レッスンするし」
「あ、あと。Aちゃんさ、ゆうくんに会ったら教えてくれる？」
「え、なんで？」
一瞬ドキッとした。さっきまで会ってたから見透かされているのかと不安になったけど、この様子だと知らなそう。適当にはぐらかしてみようかな……真くんのためにも。
「最近見かけてもすぐ逃げられちゃうから。もし会ったら教えてね」
「……はーい」
それはしつこく追いかけ回すからでは。そう言いかけてやめる。言ったら解放してもらえないのは目に見えているのでね。
適当に返事をして泉くんと別れて司くんが待つレッスン室へと足を運ぶ。やはりと言うべきか。既に司くんは練習着に着替えて待ち構えていた。
「司くん、早いね」
練習日数が増えました【2】→←Tricksterと懐かしい出会い【2】
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作者名：のあ | 作成日時：2022年6月8日 0時
