求められる事【2】 ページ17
レオくんが泉くんと結成した時の事しかわからないからメンバーが増えたのかも知らない。あの後から学院の事は話してくれなくなったから。Knightsを結成したって嬉しそうに話してくれた事はよく覚えてる。あとは『リッツ』って人と『ナル』って人が入った事くらい。
泉くんに頼んで振りを覚えたくて動画撮って送ってもらったけどどっちが誰かまでは教えてくれなかった。
「零さんごめんね、ちょっと泉くんと行ってもいいかな？」
「……仕方ないのぅ。そう愛らしい顔で頼まれては断れまい」
零さんが諦めてくれた事で解放され、泉くんに手を引かれて部室を後にした。これから練習なのか連れられるまま歩いていてふと聞いてみたくなった。
「Knightsって今は何人になったの？」
「人数は増えてない。4月から入りたいって1年がいるけどそれなりに実力がないと」
やけにふんわりしている。Knightsの事は全くわからないし泉くんも教えてくれなかったから聞くしかないのにこれでは埒が明かないぞ。
隣に並んで歩くのはおこがましいと思い、繋がれた手はそのままで後ろを歩いていたらぶつかってしまった。急に止まらないで。
「とりあえずAちゃんの今の実力見せてもらいたいんだけど、いいよね」
「え、拒否権ないよねその言い方」
チラッとこちらを振り返りレッスン室の扉を開けた泉くん。後ろから中を覗くとレッスン着を身につけた1人の男の子がいた。彼がKnightsのメンバーなのか入りたいっていう男の子なのかは判断出来ないけど、多分話の流れからして後者だろうなぁ。
「Aちゃんが話振ってくれたから説明する手間省けたけど、こいつがさっき言ってた1年」
「朱桜司と申します。瀬名先輩からお話は伺っております。A先輩」
「AちゃんにはとりあえずKnightsの曲いくつか踊ってもらうからねぇ」
朱桜くんに自己紹介する前に話を進める泉くん。さっきから少し強引すぎやしないかい。お兄さん。まさか1日でこんなに踊る事になるとは思ってなかったよ。
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作者名：のあ | 作成日時：2022年6月8日 0時
